江戸のデリバリー⑧ 割り箸のこと


《不破伴左衛門》
 三代 歌川豊国


デリバリーというか
出前に付き物なモノ、
日本ではやはり「お箸」
箸は本来は白木でしたが、
汚れが目立つことから、
江戸時代になると塗箸
使われるようになりました。

《新版御府内流行名物案内双六》より

『守貞謾稿』に鰻には、
「必ず引き裂き箸を添ふるなり。
 この箸、文政以来此より、
 三都ともに始め用ふ。
 杉の角箸半を割りたり。
 食するに臨んで裂き分けて、
 これを用ふ。これ再用せず。
 浄きを証すなり。」と…
この双六の画は小さいので、
割り箸か否かは??

役者絵の方は、
深鉢の向う側に箸筒
立ててあるのは「お箸」。
名のある店は「引き裂き箸」は、
使われなかったとあるからして、
台の物に添えられた箸は
きっと「塗箸」に違いない…

《時世花鳥風月 花》
 三代目 歌川豊国


満開の桜を楽しむ女性、
徳利と盃洗があり、
料理を詰めた重箱が二つ。
重箱に徳利・盃・取り皿・
箸などを組み入れた
携帯用の提重箱
よく使われていました。

割り箸の歴史は、
江戸時代後期からとか。
ちなみに割り箸にも、
いくつか種類があります。
木目の美しさを強調した
高級感のあるのが「天削箸」
真ん中が太く両先が
細い箸が「利久箸」ですが、
茶席もてなしに愛用されたもの、
利休でなく利久と書くのは、
利休の号を遠慮したとも…

《京都名所之内四条河原夕涼み》
 部分  安藤広重

最も多く流通している形が
「元禄箸」でして、
割れ目に中溝あり箸頭まで、
まっすぐに割れやすい。
箸の角を丸い「小判箸」
面取りをしなく安価なのを
「丁六箸」と呼ぶのは、
丁度6寸という長さ故、
およそ約18cmです。

宴席に出されている箸ですから、
きっと安物ではない筈です。

《観音霊験記
 西国巡礼第三番粉河寺
  渋川佐太夫》


人物は豊国、風景は広重の画。
粉河寺縁起絵巻によると、
娘が捧げた袴と
下げ鞘が合体して袋に。
江戸末期に刀に変えて、
箸と箸紙になったとも。

童子が持つのは箸筒(箸鞘)
なぜ箸なのかは別として、
箸袋のルーツは箸紙なのです。

《北斎漫画》より

お蕎麦
舌を細めにすぼめて、
上顎へ軽くつけ、
細かくそれを振動させて
ツルツルッと…
饂飩の方は、
舌を厚目に広げ…
ズルズルと太い音。
落語での使い分け、
箸の代わりに扇子で
麺との動きを取る。

《木曽街道六十九次之内
 守山 達磨大師》
 歌川国芳
1852年

宿場「守山」から、
山盛りの蕎麦を発想、
これに面壁=麺へぎ
修行の達磨大師を当てる。
あきらかに箸つこてます。

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