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曾我蕭白「鷹図押貼絵屏風」を再び

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こないだから探していた 曾我蕭白の「 鷹図押貼絵屏風 」。 いろいろ探していたけど... 図版をみつけました。 鷹はタカである故の悩みを持つ、 内面的なものをも表現したようにも思う。 六曲一双の屏風の左隻の荒々しさ。 まさに喰うもの喰われるもの... 弱肉強食というものを超えた、 生きとし生けるものの宿命。 まさに生物はどんな形であれ、 何かを食して生かされている。 そして消えていく運命であると... 一見すると弱き小さきものが、 不利とも思えるのだが... そのことが利となって生き続けられる、 理に叶うというのは そういう事なのかもしれません。  そして昼と夜... すべての時を支配することは 決してあり得ないのだと。 蕭白が鷹の絵を得意としたのは、 曾我派の末裔であることを標榜するもの。 鷹図の名人であった中国の蕭照・蕭瀾より 画号をつけたということにも因むのである。 左隻の氷結した水面に映る姿。 この屏風は奇人と評された蕭白自身の 写し鏡だったのかもしれません。

絵にみる和食通⑫ 酒でうさばらし

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司馬遼太郎 さんの作品『花神』に こんな一節ががあります。 「酒を飲まずにおれる人間は よほどの悪党だろう、といった。 感情がもたないのだ、ともいった。 一日世の中で過ごすと、 もう人への憐憫やら世間への怒りやら ときに攘夷問題についての憂悶やらで、 酒でも飲まねば夕方を迎えられない。」 「東方朔と美人図」葛飾北斎 画 (葛飾北斎美術館 蔵) でもホントにウサを晴らすならば、 美女と一緒がいい。 和服美人に酌をしてもらう至福の時... 二人の前には桃が置かれている。 杯を差し出す主は 東方朔 という人物。 桃は見立て 、 つまり桃に所以のある御仁なのである。 「東方朔捧桃図」富岡鉄斎 画 東方朔は前漢武帝に仕えた文学者、 奇行が多かったとか。。。 仙女西王母 (さいおうぼ) の桃を 盗んで食べたことで長寿を得たのだという。 「布袋と寿老の酒宴図」岩佐又兵衛 画 (福井県立美術館 蔵) まぁ〜 虎次郎の宴席 はいつもこんな感じかな... この絵は 岩佐又兵衛 (1578-1650) の筆。 芸術新潮にはこんな風に紹介されたことがあった 「父は信長に叛いた 荒木村重 。 大虐殺をからくも逃れた運命の子は、 武士を捨て絵師になった。権威を笑い、 血に執し、エロスに酔った絵師」??? 古典や故事の題材を求め、 復讐劇の長編大作絵巻などを遺した人。 ”浮世又兵衛” とよばれ、 寛永期風俗画に大きな影響を与えた人で、 大津絵の元祖ともいわています。 実は又兵衛は体毛にこだわる作者と言われる。 布袋にも独特の体毛が描かれている... ちなみに 虎次郎は腹黒い と言われるが、 腹にも胸にも毛はないのである(〜ω〜) ラストはコイツを... 「酒呑仙人図」曽我蕭白 画 (奈良県立美術館 蔵) 主題の典拠などは明らかでなく、 描かれている人物は 仙人といえる所業ではないが、 「酒呑仙人」と呼ばれている。 酒甕の栓を抜いて酒を呑む。 ここまでになると... まさに酒に呑まされるってことになる。 酒呑の上体の筆致がオモシロイ。 おそらく筆先をグルグルとしたのだけども、 蕭白は...

ボストン美術館の龍に睨まれる。

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大阪市立美術館でやってる 「 ボストン美術館 日本美術の至宝 」展。 ついに会期も終わりに近づいてきました。 東京、名古屋、九州と巡回してきた 曾我蕭白の「雲龍図」 の里帰りも あとすこしでオシマイなのです。 きっと見逃すだろうと思っていたので、 GW中に見ておきましたので、 ちょっと振り返っておきます。 行ったのは5月6日の月曜日、 月曜休館だからか?連休中なのか? 比較的空いていたように思います。 会場に入ると最近かならずある 「記念撮影コーナー」にも「雲龍図」。 「雲龍図」は最後の展示室にあったのだけれども... ボストン美術館に渡った時は、 襖からはがされてグルグル巻にされていたとか。 禅寺院の方丈に飾られたとも見られる襖絵のようで、 もしその予想が正しいとすれば、 中央に別の絵があったとも想像されているとか。 右側から4面目の左端に爪の一部があり、 このままでは龍の体がつながりません。 方丈をぐるりと一頭の龍が囲んでいたとも... 謎が深まるのだが、 今回は上のような感じで展示されていました。 次はいつ日本に渡ってくるか分かりませんから、 最後の土日はさらに混雑するかもしれませんが、 ぜひともジロリと睨まれてみてきてください。 「ボストン美術展 日本美術の至宝」[大阪展]  6月16日(日)まで(6月10日(月)休館)  会場 大阪市立美術館 【天王寺公園内】  開館時間 午前9時30分~午後5時  ※入館は午後4時30分まで休館日月曜日