ボストン美術館展 懐かしの絵巻たち

実はボストン美術館展を見たのは二回目。 1983年(昭和58)で 京都国立博物館で行われたもので、 今でも書棚にその時の図録が残っています。 虎次郎がちょうど高校2年生だったとき、 大学で何を学ぼうかと迷っていたときに 背中を押してくれてたのが「里帰りの絵巻」 まさに『 平治物語絵巻 』でありました。 ボストン美術館に渡ったのは 燃え上がる三条殿が描かれた「 三条殿夜討巻 」。 燃え炎はまるで生きもののよう... 冒頭の詞書はナレーションに留められていて、 一気に人々の背を追いながら事件に迫る。 一台のヘリのカメラが上空から追う ドキュメンタリーのようで。。。 吹抜屋台の 『源氏物語絵巻』=絵巻物 と 思っていたからショッキングな 出会いとなったことを思い出しました。 絵巻には展示期間というのがあって 年間何日公開というのが決められていて、 一つの絵巻の全体を一挙に見ることは、 ほぼ不可能なことでしたから... もう少し先を見たいと思ってもなかなか 見る機会に出会うのはムズカシイこと。 カラー図録も簡単には手に入らなかったので、 まさに当時の図録はタカラモノでした。 もう一つが『 吉備大臣入唐絵巻 』。 対照的な存在で吉備真備が幽閉された高楼と、 皇帝の宮廷とのコントラストがオモシロイ。 見慣れた場面設定の繰り返しの「同一構図」。 卒論はこの「同一構図」の 『 信貴山縁起絵巻 』を題材に書き上げました。 単調な構図は アニメーションのような 製作過程を示すものですが、 場面展開としてはじっくり見る絵巻こそ、 絵巻物の王道を行っているのだと思います。 この二つの絵巻、 幕末以降は社会情勢の激変のさなか、 美術市場に放出されてしまいました。 『平治物語絵巻』は アーネスト・フェノロサ 、 そして『吉備大臣入唐絵巻』の方は 富田幸次郎 という 岡倉天心の弟子 だった人に、 見出されて海を渡ったのだそうです。 よくぞ刻まれることなく 巻子 (かんす) の まま で 伝わったことに感謝です。 今回の展示は全巻公開 なので、 躍動する絵巻とユーモラスな絵巻、 その対比で眺めれる チャンスはあと6日間です!!