THE FORMER NARA PRISON Vol.4 ~出逢う場
明治五大監獄のなかで 唯一全貌を残す。 近代国家として まだ若かった日本が、 国の威信をかけて造った。 必死さの結晶が 美しい煉瓦建築となった。 日本近代化の巨塔、 いずれ「 監獄ホテル 」と なるらしい… 多くの近代化遺産が 立つことを許されなくなった。 ひとつは耐震基準… “ザ・ 廃墟 ”と持て囃されても、 いずれは朽ち果てる。 舎房の半地下に いくつか並ぶ一人用の浴槽。 厨房の名残… 炊事担当者用の浴槽とか。 煤こけた顔も、 キレイにお化粧直しを されるかもしれない。 どんなキモチが刻まれたのか、 今は想像するしかない。 無骨なパイプたちも… こんなものが目についた 「HAYAKAWA ELECTRIC Co., LTD. OSAKA」 早川電機工業 とはシャープ前身、 こっそり 「ON」 にしたけど… もう何も起こらなかった 。 「よい出逢いなんて ある訳ないと思っていた すぐに離れていくと 感じていた それならずっと独りでいいと 思い続けてきた でも いますべて 逆のことを感じている ほんとうに人生を変える いい出逢いだと思う もう これからは独りじゃない こう思えたのは あなたちが居てくれたから この出逢いは ぼくの宝物です 本当に ありがとう」 寮 美千子 さんが写真集で 紹介されていた受講生の詩。 この門から出ていくその日、 不安が大きかったのか、 希望が大きかったのか… 「 ありがとう 」と庁舎を 振り返っていたのか… そんな風景だったのだと。