江戸のデリバリー⑰ 温もりを届ける


《当盛美人揃之内
  しんさがみや、とこ》
 二代 歌川国貞


お天気がいいのに
オウチにいることが、
ほんと多くなりました。
大好きな散歩?徘徊?も
最近してません(T_T)
寒がりさんでもあり、
暑がりさんでもあります。

《時世粧菊揃 つじうらをきく》
 歌川国芳

「いまようきくぞろい」

江戸時代の暖房といえば、
炬燵に火鉢ですね。

《三十二番職人歌合》より
   火鉢売

火鉢の歴史は古く、
そのルーツは奈良時代とも。
『枕草子』には、その前身の
「火桶」が登場します。

《江戸名所道戯尽
 廿二 御蔵前の雪》
  歌川広景

江戸中期は小氷期だったとも、
何度が隅田川が凍ったと
記録に残っています。
こんな大きな雪だるまも、
作ることができる大雪は、
珍しいことでなかったとか…
縁起物の雪だるま
お供え物がみえます。

《職人尽歌歌合》より 炭焼・小原女

木炭は生活の燃料である前に、
戦略物資でもありました。
というのも刀をつくるため、
鉄と木炭を掌握することは、
重要な要素でした。
小原女(おはらめ)とは、
大原女とも…
黒木(くろぎ)と呼ばれる
薪や炭を頭にのせて
売った人たちでした。

《外と内姿八景 桟橋の秋月》
  安藤広重


床を四角く切りぬき灰を敷き、
薪や炭を燃やした囲炉裏
江戸の長屋では、
難しかったようです。

《東京美女ぞろひ 柳橋きんし》
 二代 歌川国貞


長火鉢は湯を沸かしたり、
こちらの浮世絵では、
ひとり鍋を楽しんだり。

《職人尽歌歌合》より硫黄箒売

硫黄箒売とは…
附木と箒を売る人のこと、
杉や桧の薄き板などの
一端に硫黄を塗りつけた
附木(つけぎ)とともに、
小さな箒も売り歩き…
箒はカマドの煤払いにう。

『近世商賈尽狂歌合』より
 吉井火打鎌

商売は古くは商賣と書きますが、
商賈 (しょうこ)とは商人のこと。
200年の歴史を刻む吉井本家
火打鎌・火打石は商標登録、
墨田区東向島の伊勢公一商店
受け継いでおられます。

《新柳二十四時
  午後九時 火打石》
 歌川国芳


《炬燵の娘と猫》歌川国政

炬燵でググるとヒットする
浮世絵の代表格はこれ!
置きごたつは持ち運びでき、
土製の火鉢を櫓のなかに
入れた移動式でした。

《雪見八景 晴嵐》
 初代 歌川豊国


雪見船持ち込み…
酒器がみえます。

絵本和歌浦』より

京都の祖母の家にも
あった掘りごたつ

実は…江戸期は "こたつ開き"
というのがあって、
旧暦十月の亥の日
亥は陰陽五行説では "水"
火災を逃れる願いが
そこにはありました。

《アメリカ人遊里屋図》
 歌川芳豊


マッチがもたらされたのは、
おそらく江戸末期のころ…
19世紀のヨーロッパの発明、
日本人に恩恵は、
少し先のことになります。

《かちかち山》山本昇雲

くれぐれも
戸締用心!火廼要慎!!

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