七宝・二人のナミカワ~驚異の超絶技巧⑥

並河靖之《藤図六面花瓶》

七宝の技法は幕末から明治に
かけて大転換期を遂げた、
有線七宝」がソレ。

薄くリボン状の金属線を貼って
文様の輪郭線を作り、
釉薬を差して窯で焼き付ける。
濤川惣助《波濤鷹図盆》

もうひとつが、
色の境目を区切る金属線を、
釉薬をさした後に取り除く
無線七宝」。
安藤重兵衛《月に時鳥図花瓶》

にじみ」や「ぼかし」の
視覚効果がうまれて、
七宝に文様表現の
新機軸をもたらしました。

並河靖之《紫陽花花図花瓶》



並河靖之は幕末の京都に生まれ、
武家の出身ですが生活は苦しく、
明治になって副業として
七宝焼を始められたそうです。

並河靖之《花文飾り壷》


濤川惣助《舟鷺図皿》

濤川惣助は千葉県の農家出身、
陶磁器を扱う
貿易業を営んでいました。
彼は
1877年、
殖産興業の一環として
日本初の博覧会が開催、
その会場で靖之の七宝焼に…

魅力に取りつかれて一念発起。
2年にわたる修練ののち、
生み出したのが
無線七宝」なのです。

並河靖之《蝶に花の丸唐草文花瓶》

七宝焼は重要な輸出産業で、
技術力が低かった工業製品の
輸出では利益が出なかった、
その代わりに手作業による
美術品・工芸品が要でした。



並河靖之《蝶に桜図香合》

明治期の美術工芸品は
日本国内に残っている
数が少ないのです。

並河靖之《花文飾り壷》

超絶技巧」という言葉は、
2014年開催の
超絶技巧!明治工芸の粋
からだと思います。
かつてその多くが
海外に流出してしまった
素晴らしい明治工芸を、
ここ30年ほど
精力的に買い戻して
収集されて
村田コレクション」、
京都・清水三年坂美術館
所蔵品がベースになっています。

並河靖之《蝶図瓢形花瓶》

七宝の「二人のナミカワ」に
話に戻します。
有線と無線の対決が
東京の迎賓館赤坂離宮
花鳥の間」。

濤川惣助《芙蓉に鴨図花瓶 一対》

壁を七宝の作品で飾る
計画が持ち上がると、
その候補に…
並河靖之濤川惣助の二人。
どちらに軍配??
その答えは、
迎賓館赤坂離宮のHPで…

※このブログは「美の巨人たち」の番組を参考にしました。
並河靖之「蝶図瓢形花瓶」 濤川惣助「七宝富嶽図額」

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