華麗なるジャポニズム 想像する虎
ヨーロッパに虎は存在しないのだという。
生息地はアジア...
この魅力的なネコ科の動物を描くとき、
西洋の美術家たちのベースは東洋の美。
ポール=エリー・ランソン《密林の虎》
1893年 カラー・リトグラフ
ポール=エリー・ランソンの《密林の虎》は、
向きこそ違うが国貞の並べると対になる。
13年ほどでランソンの手元にあったかというと、
ギモンなのだが尾をピンと張った勇ましさ。
漲る力を開放したのがランソンの虎なのか??
うねるような草木がうめつくす画面。
日本の浮世絵よりも南アジアの虎の絵を
お手本にしたのかも知れない…
歌川国貞
《虎》
1830年(文政13) 色紙判摺物
摺物絵であるが…
トラジマデザインがかなり秀逸。
国貞が生きている虎を見て描いたというより、
猫を虎に見立てて筆を走らせたのだろう。
ジョン・ディクソン・バッテン
《虎》
20世紀後半 多色摺木版
こちらの虎は様式化されずに歩く姿は、
まさに勇ましい密林の虎。
いずれにしても虎は伝説の動物だったから、
強く勇ましい存在であってほしいものである。