京都モダン建築祭2022 京都市役所本庁舎 市会議場


国会議事堂本会議場の次に、
よくニュースで目にするのは、
京都市会会議場でしょう。
政治論戦での露出というよりも、
年に1回かならずここが映される。
"祇園祭"の山鉾巡行順のくじ取り式は、
ここで執り行われるのです。

"京都モダン建築祭"、
11月11日のみ自由見学日、
その訳は土日は閉庁日なので、
スタッフ引率見学でした。
金曜訪問で正面玄関から入庁です。

現在の京都市役所本庁舎は三代目
1927年(昭和2)4月に一期、
1931年(昭和6)8月に二期、
鉄筋コンクリート造として
関西建築界の父 "武田吾一"監修のもと
竣工されたものです。
100年の歴史を刻まれた庁舎は、
京のシンボルでもありました。
しかし耐震性能の不足
執務室の狭隘・分散化による
経費負担が重なっていて、
バリアフリー化も大きな課題でした。

2017年から改修工事を着手、
ようやく2021年にほぼ完了。
これからも周辺整備などが
図られていく予定だとか…
正面車寄せの天井部分も、
軽量化
が図られたようです。

正面階段は基本的に従来のままですが…

正面階段踊り場には、
京都の四季を表現したステンドグラス
作家の佐々木真弓さんの寄贈。

こちら"モニュメント時計"は、
京都市章である御所車がモチーフ、
12 のパネルには行事や風物、
そして唐草文様が描かれています。
1月 西陣織、2月 結納飾の水引
3月は清水焼で桜、4月 京竹工芸
5月 京漆器で昇り鯉、
6月 花菖蒲を彫金で…
祇園祭大文字と京都の歳時記が
意匠として鏤められています。

そして漆塗りエレベーター扉
加飾は使用済小型家電回収の
リサイクル金が使われています。
「扉に手を触れないで!」
立て看板の注意書き…

中央エントランスの石膏彫刻や
葱花型アーチは、
剥落を部分補修したそうです。

創建当時の姿を目指した
改修が図られたそうです。

市会議場も100年の使用を超えて…
リニューアルされています。
議場正面の3連型照明は、
元の議場のものです。
また正面アーチは漆喰造り
インド建築の影響がみられます。

織物の裏に紙などを張ることなく
布そのまま壁に張る"緞子張り"。
色彩や柄を創建当時に復元、
川島織物セルコン
手がけられました。
技術的に施工が難しく、
近年は使われない手法ですが、
吸音効果に加え柔らかい印象は、
議場に落ち着きをもたらしています。
議場入口の照明は2連型を復元…

天井の幾何学模様のステンドグラスは、
落下防止の措置がとられて、
元議場のものが残されています。

イタリア・ルネサンス的
骨太の格天井が施され、
イスラム風の円花飾り
格間に配されています。



議員の氏名標や議場背面の壁には、
市内産"みやこ杣木"が使われています。
一部補正しています…

こちら市長席
マイクロフォンなどの音響機器、
スロープ設置なども図られました。

議場の七つ道具もあちこちに…



次回は"正庁の間"へ

★ 京都モダン建築祭 公開データ ★
京都市役所本庁舎
公開日時 : 11月11日(金)-13日(日)
       11月11日自由見学
       11月12日-13日スタッフ引率見学
公開エリア: 正庁の間、市会議場
竣工年  : 第一期 1927年(昭和2)
       第二期 1931年(昭和6)
改修年  : 2021年
構造・規模: 鉄筋コンクリート造
       地上4階、塔屋、地下1階
設計竣工時: 顧問 武田五一、
設計 中野進一(京都市営繕課)
  改修時: 日建設計
施工竣工時: 山虎組・松井組・松村組(第一期)
       津田甚組(第二期)
所在地  : 京都市中京区寺町通御池上る
       上本能寺前町488

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