時代が求めた1970デザイン展⑥ 未来都市の住人の装い


「万国博の主役といえば
巨大なパビリオンやその展示品だったろう。
しかし来場者をエスコートし、
影で支えたのは
未来のファッションに身を包んだ
ホステス(当時はそう呼ばれていた)たちだった。
彼女たちは“動く展示品”といわれた。
万国博が未来都市ならば、
ホステスたちは未来都市の住人だった。」
日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑』より
 2010年 大橋博之 編著 河出書房新社
ずらりと並んだパビリオンユニ。

ほとんどが洋服だったところを、
和服で攻めてきたのは「松下館」。
松下館のホステスは
動くインテリアって位置づけ。
日本の伝統美を強調するコンセプトに調和、
古典的伝統的ながらも近代的な和装。

デザイナーは大塚末子さん、
着付けと整理の時間を
合理的なデザインでクリア。
実は上下セパレート、
帯も前後ろで分かれてたとか。
着物は矢代仁
帯は龍村だからホンモノなのである。

白色のワンピースは「せんい館」。
「とき・ところ・場所によって、
色・柄・スタイル・素材が多彩に変化する」
まさにTPOがテーマだったそうだ。
基本になったのがコレだったとか。
“ユニフォームは繊維業界おして独壇場とし、
70年エキスポのファッションをリードする。
他の展示館の追随を許してはならない”
という意気込みは、
一人あたりなんと十二着以上も
支給したことでも想像できる。 
紺色と白のシンプルなデザインのは
エスコートガイド」の制服。
会場を訪れる国内外の観客の接遇、通訳、
とくに国内外の貴賓の接遇を携わる、
いわばコンパニオンのなかのコンパニオン。

万国博の基本カラーは紺色、緑色、赤色。
テーマ館である「太陽の塔」では、
緑色が使われたという。 
メタリックボディな
スペースエイジなのは「みどり館」。
アストロラマ>のエンブレムが左肩に。
ワンピースの素材はメタリック調の
光沢のあるテトロントリコットとい素材。 
 キュートなスカーフ「住友童話館」。
メルヘンな世界のパビリオンは、
「千里丘おとぎ団地」「東西名作広場」
「竜宮城」「童画のブラネタリウム」など、
6個のドームに
童話の世界が広がっていたという。
ちなみにホステスたちは120名ほど、
グループ各社の縁故対象に選考が
おこなわれたというのも時代を表している。

参考:
日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑
  ---EXPO’70 GIRLS COLLECTION (らんぷの本)
   2010年 大橋博之 編著 河出書房新社

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