大阪の神社めぐり 姫嶋神社 (西淀川区姫島)


ブログ蔵出しネタをいくつか…
かなり前になるが姫嶋神社のこと。
阪神阪急電車の沿線特集でみかけた、
この"姫だるま"を授かりに行きました。

阪神電車 姫島駅から西へ徒歩6分
ところにありますが、
訪れた日は大阪メトロ・シティバスの
一日乗車券でJR大阪駅からバスルート。

別名を"やりなおし神社"ともいわれる、
その訳は…1872年(明治5)に郷社に、
創建年代は不明だが境内の石灯篭には、
正保5年(1648)とあるので、
江戸時代以前から、産土神として
阿迦留姫命(アカルヒメ)を祀っていたと。
1945年6月15日の空襲で社殿、宝物、
文献などすべてを焼失となった。

"姫島"という地名は、
古代難波八十島のひとつ"比売島"と
伝えられてきたことに辿る。
『古事記』応神記に、
「昔、赤い玉より化生して美女
 となったアカルヒメが新羅の王子、
 天之日矛(アメノヒボコ)の妻となり、
 常に美食を用意して夫に仕えたが、
 夫は慢心を起こし妻をののしるので、
『わたしはあなたの妻となるべき
 女ではありません。
 わたしの祖国へ帰ります。』と言って、
 難波に逃避行してきた
」とある。

アカルヒメは夫と別れ、海を渡り、
新天地で再起し女性たちに機織りや裁縫、
焼き物や楽器などを教えたことから、
「決断と行動の神様」
として信仰されてきたのでした。

戦後は再起を図る人々の信仰も集め、
アカルヒメ同様何も無い状態からの
出発となったことから
「やりなおし神社」ともいわれる所以。
FacebookなどのSNSでの発信もあり、
サイトにはフォトギャラリーも開設、
若い女性の注目を集めています。

もう一つの参拝のキッカケはコレ!
帆立貝の貝殻と赤い玉

帆立貝の貝殻が多く結ばれています。

真ん中に立つのが"はじまりの碑"、
神武天皇遙拝所内にあって、
遥拝石であるとともに
アカルヒメノミコトの御神徳が
注がれているもの。

夢や目標を決め何かを断つ事で
新たな出発が順風満帆に進むよう、
決断と行動の神様にあやかる場所。

夢や目標を叶えるために、
断ち切らなければいけないことを念じ、
碑の穴を通す事で封じ込めておく…

赤い断ち玉
こんな伝説が遺されています。
「ある女性が沼で昼寝をしていると、
 虹色の光が当たった。すると女性は、
 身ごもり赤い玉を産み、
 その玉が女神に姿をかえた。」

アカルヒメノミコトは赤い玉から
生まれたというのです。
虹色の光はその始まり、
古代の虹の色数は
赤、橙、黄、緑、青の五色なのです。

踏石から何度となく投げて通り抜け、
"帆立絵馬"を納めてきました。
ホタテは海を泳ぐとき、
帆を立てて進む船の様から帆立に。
アカルヒメノミコトが夫から小舟で
逃れこの地で再出発に因んでいる
のです。

何かを始めようとするとき、
何かを断たねばならない。
今までのままでは、
新たな夢も出会いもないという、
"縁切り”と”縁結び"は隣り合わせ
そうなのでしょうね。

境内のお稲荷さんは"玉榮稲荷社"、
1588年(天正16)に秀吉母の大政所
病に倒れられた時に、
伏見稲荷に請願し勧請されました。
あの"六瓢箪"は無病=六瓢 息災とか。

御祭神は宇迦之御魂神、保食神、
稚産霊
神の三柱なのですが、
同じ性格の神様をお祀りしているのは、
村に医者がいなかった時代、
人々の健康への切なる願いがあった、
そんなことだからだと言われます。

こちらもうひとつのお稲荷さん、
結び稲荷の"楠社"。

楠社の後ろにある御神木の大楠に
住んでいた白蛇の神さま
奈賀止麿命(ナガトマロノミコト)
お祀りされています。

大楠の御神木も1945年に焼失、
その後植えられた3本の楠が
いまでは御神木を支えています。
何もせずに良い縁はなく、
いろいろな人との出会いで、
自分を磨くことが大切なのですね。



こちら今は使われなくなった
古い狛犬は"感謝のおもい塚"、
物の整理はできたが、
気持ちの整理ができないとき、
手放した物への感謝を込める場所。

河辺宮人(かわべのみやひと)に
歌われた万葉集の巻二に収録
妹(いも)な名は 千代に流れん 姫島の
 小松がうれに 苔むすまでに
」。
詞書に
「和銅4年(711)姫島の松原に乙女の
屍(しかばね)を見て悲しびて作る歌」と。

「若者が、ある乙女に恋をしたが、
 世間の口がうるさくて、
 ふたりは祝福された結婚ができない。
 若者は命をかけて将来を契るのだったが、
 乙女は姫島で入水をして自害してしまう。
 悲しみのあまり若者は放浪の旅にでて、
 紀州、美保の松原の洞窟にこもり、
 磯辺の白ツツジを摘んでは
 亡き少女の面影を追い求めて、
 その地で生涯を終えた。
 こんなストーリーだったのかもしれない」
と『万葉の歌 − 人と風土』に解説…

やりなおしのできないことだからこそ、
悔やみ悲しみ、そして懐かしみ…
姫島の地には人の出会いの数だけ、
想いがありました


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