ル・コルビュジエの国立西洋美術館へ


世界遺産になって改めての
ル・コルビュジエ
国立西洋美術館へ…
やはり上野に足が向きました。
ただ中を観たことは…
しっかりとした記憶がありません。

建物をブロンズ彫刻が
取り囲んでいます。
オーギュスト・ロダン
カレーの市民

エミール=
アントワーヌ・ブールデル
弓をひくヘラクレス

これは館内にある
《弓をひくヘラクレス(習作)》
一時期フランス政府に
接収されていたが、
1959年に寄贈返還されたもの。

館内はほぼ撮影ができる。
世界的に見ても美術館で
撮影を禁止しているのは、
日本独特のもので…

ル・コルビュジエの建築は、
・ピロティー、
・骨組みと壁の分離、
・自由な平面、
・自由な立面、
・屋上庭園
この5要素。

越後島研一さんは、
ル・コルビュジエを見る』で、
このように語っています。
「この美術館は1959年に完成した。
 だが、発想の原点はその30年前、
 1929年の「世界博物館」の
 計画案にまでさかのぼる。
 これは
 ル・コルビュジエの故国スイスの
 ジュネーブに建設予定だった
 ムンダネウムという新都市の中心に
 計画されたもので、
 四角いらせん状の
 ピラミッドのような形をしていた。」



「この日本で唯一の
 ル・コルビュジエ作品は、
 決して大傑作とはいえない。
 しかし、初期の五原則や、
 最初の到達点たる
 サヴォワ邸を再現しつつ、
 一九三〇年代以降に発想したものを
 重ね合わせている点で、
 彼の「偉大なる変貌」の集約
 という意義をもつ」と…

2階の展示室へ…

いまは使われていないが、
よくテレビでもでてくる階段。



この建物を上空から見下ろすと、
 屋上には、細長い天窓が、
 ぐるっと廻るような
 位置に配されている。
 それは、内部での人の動きを、
 つまり、箱の中を廻るように展示を
 見ていくという鑑賞ルートを、
 直接反映したものだ。」

「正面には、ほとんど使われない
 外部階段が街路へ向かう方向に
 飛び出しているが、それも実は、
 見終わったあと後に出て行く際に
 使うはずのものの名残りだ。」

ル・コルビュジエのプランが
実現しなかっこと。
2階展示回廊の照明ギャラリー
もともとは屋上にに配置された
天窓から自然光を採りこむ案だ。
日本側の検討の結果、
絵が直射光の反射で劣化するとの、
理由で人工光に変更されています。

2階から中3階のバルコニーへ、
手すり片側階段は実現はしたものの、
その役目を果たしてはいない。
それでも、四角い“らせん”の構造、
増え続ける収蔵品に対応するため、
建物をどんどん外側へ拡張とい意思。
美術館の動線に彼の発想を、
感じることができました。





国立西洋美術館の所蔵品ベースは、
実業家・松方幸次郎
ヨーロッパで収集した
美術コレクションたち。
第二次世界大戦後接収されたが、
サンフランシスコ講和条約により
寄贈返還されたもの。
その際フランス側から条件が、
保管公開する美術館の設置でした。
日本の美術館ではめずらしい。
カメラ・オッケー!

《ヴェトゥイユ》クロード・モネ 1902年

《睡蓮》
クロード・モネ 1916年


しゃくやくの花園
クロード・モネ 1887年
うずくまる女
オーギュスト・ロダン

屋外展示の《地獄の門》の中で、
《考える人》の
左手背後で仰向けに
倒れそうな姿勢とほぼ同じとか…
ちょっと見つけられなかった。
こちら《考える人》ちなみに、
ロダンによる原型からの作品。
国立西洋美術館ではこれ以外に
小さいものが1点、
京都国立博物館。
そして静岡県立美術館のロダン館、
東京のブリヂストン美術館。

「地獄門」の上のほうに含めると、
国立西洋美術館と静岡のロダン館に
1点ずつあるそうです。
それと「地獄門」の縮小習作を
それどれ1点ずつ所蔵しているとか。
「地獄の門」のマケット
石膏 1881-82年頃(原型)
ル・コルビュジエは1955年に
来日して上野を視察しています。
美術館の建設予定地は
復員者やホームレスの小屋に
占拠されていたといたそうです。
終戦から10年という月日は、
戦争の傷跡をまだまだ
癒やしてはいませんでした。

文化複合施設の全体計画スケッチ
計画:ル・コルビュジエ 1956年

2年ほどして送られてきた設計図?
「日本にはわしの弟子たちがいるから
 なんとかしてくれるはずだ」と。
美術館だけではなく、
劇場や企画巡回展示館までの
大きな計画だったそうです。
予算で実現はしませんでした。

赤い鶏と青い空
 フェルナン・レジェ 1953年

アトリエのモデル
パブロ・ピカソ 1965年

道化師
ジョルジュ・ルオー 1937-38年

※このブログは以下資料を参考にしました。
清水建設のHP

越後島研一『ル・コルビュジエを見る』
 (中公新書)
      

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