イケフェス大阪2017 髙島屋東別館③松坂屋のタイムカプセル


ガイドツアーしてくれはった
川島智生 先生。
京都華頂大学の教授さんです。
近代大阪の小学校建築史
 (大阪大学出版会)とか、
近代奈良の建築家
 (淡交社 平成23 年)を執筆。
百貨店建築にもかなりお詳しい。

堺筋側とは反対にある
エレベーターホールへ。
松坂屋が1966年に天満橋に店を
移転したことで髙島屋が取得。
ただ百貨店としては、
あまり使われなかったことで、
手を加えられませんでした。

階表示も針で示されて…

上り下りもランプ

扉もほぼオリジナル

いつ貼られたのかの
「運転中止」…

扉の装飾も基本のアカンサス

UP・DOWN

この飾りも階上につれて、
変わっていました。



1階中央階段は、
戦後に設置された物だそうです。
デザインから村野藤吾の関与が、
ささやかれていますが、
記録はなく詳細は不明だそうです。

床面もほぼオリジナル。
いわゆる戦後に多用された
ピータイルではありません。



慶長16年名古屋創業の松坂屋が
大阪に進出したのは、
1875年(明治8)のことでした。
百貨店としては日本最古、
その威信をかけて大阪進出が、
この百貨店だったのです。

店舗建築がどれだけ豪華であるが、
成功を左右するとされていました。
当時 百貨店へお出かけするのは、
中流から上流へと駆け上がる
家族の憧れでもありました。

最古参の三越に加えて、
大阪には大丸、そごう、高島屋、
阪急、大鉄(いまの近鉄)の
本店が置かれ、
大規模店舗が乱立していたころ、
新店舗建設は相当な
プレッシャーだったのでしょう。

旗艦店の一つである大阪店、
1966年に
ターミナル・デパート化を
目指して京阪天満橋駅へ移転。
ただ…
官庁街の天満橋では客もまばら、
移転後ただの一度も
黒字に転じませんでした。

その後の大阪での松坂屋さん…
残念ながら
2004年に大阪店は撤退。
129年で
大阪での幕を下ろされました。

中二階の喫茶室の飾り。

アーチにも飾り。
こちら通気口。


おそらく展示スペース。

地下への階段にも大理石が
ふんだんに使われています。

近年まで倉庫として使われていた
エリアの床のモザイクタイル
松坂屋時代は食堂として、
使われていたのですが、
髙島屋になってからは
手を入れていなかったとのこと、
ほぼオリジナルで残っていました。

柱もペンキで塗られている部分と、
真ん中がオリジナル面。
百貨店はいわゆる内装変更が
繰り返されるので、
このような時が刻まれるのです。

天井の丸い所にはシャンデリアが
つけられていたそうです。

まさにタイムカプセルのように…
封じ込められていました。

「髙島屋東別館」
竣工年:1928年~1937年(昭和3〜12)
設計 :鈴木禎次(鈴木建築事務所)
構造 :鉄骨鉄筋コンクリート造
    地上7階、地下2 階
所在地:大阪市浪速区日本橋3-5-25

イケフェス2017プログラム
ガイドツアー
日時=10/27(金)・29(日) 両日とも
   ①9時30分~ ②13時~ ③15時~(各回約80分)
定員=各20名(中学生以上) 参加費=無料
案内人=川島智生(京都華頂大学教授)


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