甲子園ホテルへ③ いろどる三つの石

「西の帝国ホテル」
と呼ばれた理由…
甲子園ホテルがライト設計の
帝国ホテルに外観が似ていたから。

帝国ホテルは山邑邸とともに、
「大谷石」が使われました。
でも、
ライトがはじめに求めたのは、
赤く暖かみのある
「蜂の巣石」でした。

[甲子園会館展示の日華石]

では…甲子園ホテルは、
黄色い「日華石」という石。
蜂の巣石の産地にほど近いとこで、
切りだされた石だったそうだ。

日華石は、
石川県小松市観音寺下町で
産出される
流紋岩質溶結凝灰岩とか。

通気性がよく耐火性があるので、
国会議事堂の内装などに
使われたものだそうです。
地元では観音下石(かながそいし)
呼ばれているそうです。

ビルヂング隆盛の大正になると、
「日華石は「千歳石」という
 新しいブランド名でもって
 販路を広げていたようだ。」と。

いわゆる孔ができる「蜂の巣石」
「「巣」という生の営みを
 イメージさせる独特の表情」
とは違って、
石工装飾が映える石が、
甲子園ホテルには選ばれたようです。

「打出の小槌」のモチーフ。

レリーフなどの細かな細工は、
きめの細かい日華石だからこそ。

[甲子園会館展示の龍山石]

ただ
「石は土地そのもの」でもある。
ライトも遠藤も土地の材料を
使うことも意識していました。
甲子園ホテルには兵庫県高砂市
この「龍山石」が混じっています。

おそらく、
オリジナルの日華石に似てた、
地元の黄色い龍山石が改修に
混じっていったようです。
時を経て、
土地の石に帰ったのかも…
もうひとつの石が「大谷石」
玄関の両側にはライト好みの
石が見て取れます。

フランク・ロイド・ライト
影響のある建物として
保全されるという理由からか、
改修を担った建設会社の
心遣いなのかもしれません。


流紋岩質溶結凝灰岩とは?
石英や長石の結晶片を多量に含んだ溶結凝灰岩。
強く溶結しているために、基質はガラス質で、
たいへん硬くなっています。

※このブログは三宅 正弘さん著の
『甲子園ホテル物語
 ―西の帝国ホテルとフランク・ロイド・ライト』
を参考にしています。


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