甲子園ホテルへ② 打出の小槌とBASEBALL

甲子園ホテルの西側ウイングの
バンケットホールには、
雫が滴るような造形があります。
打出の小槌」から
弾き出された水玉なのでして、
それを受ける水鉢で恩恵を受ける様。

丸と四角の組み合わせは、
ホール全体を幾何学的に彩り、
どこかインカアステカ風

でも照明は行灯のようで、
和洋折衷を超えたカタチ。
天井を見上げると格天井のよう、
いまはやりの市松模様でもあります。
1936年3月25日…
ここ甲子園ホテルのホールは、
六甲颪』のお披露目パーティーが
開かれた場所でもあるのです。
ホール後ろ手に設けられたエリア、
大阪タイガースの歌』が初めて、
奏でられた場所がココなのです。
当日は200人程度の関係者に
レコードが配られたそうですが…
あまり定着しなかったとか。

ホテルには野球好きがさくさんいて、
チームユニフォームもあったそうです。
ユニフォームの胸には、
打出の小槌が描かれていて…
ホテルのモチーフであったことが、
ここでもわかります。

当時のホテルのマッチ箱。

外壁にもまさに多用されています。

こちらは1階の小階段にある噴水。
訪れた日は七夕飾りがありました。
水の流れ落ちるところにも小槌。


この噴水には仕掛けがあるのでして…
夏至の日の昼前に蹲に刻まれた
打ち出の小槌のモチーフに光が刺す、
まるでインカの神殿のような
仕掛けがなされているそうです。

緑釉の宝珠の棟飾りにも
打出の小槌が吉祥図柄にて。

金属のように見えるが、
緑釉瓦が屋根を覆っています。
大正から昭和にかけて
美術工藝タイルで名声を博した
京都の「泰山製陶所」のもの。

打出の小槌が振り出されるたびに、
福が水滴のように珠となって
降り注いでいるのです。

こちらはルーフガーデン東側、
日華石の彫刻。
小槌の凹みには大黒さまが、
かつては座されていたそうです。

会館に残る食器類。

ここにも小槌マーク。

ではなぜ「打出の小槌」だったのか、
ほど近い芦屋には「打出小槌町」、
打出天神社なる社には伝説が残り、
なんでも願いが叶う小槌は、
竜神から授かったもの。

遠藤新なのかそれとも、
林愛作なのか…かくたる資料は
ないとのお話でしたが、
宝珠に滴る雫がつたう屋根、
ホテルの繁栄を
強く願われたのだと思います。

※このブログは三宅 正弘さん著の
『甲子園ホテル物語
 ―西の帝国ホテルとフランク・ロイド・ライト』
を参考にしています。


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