ライトのワーク山邑邸vol.1 ホームから望める洋館


阪急神戸線の芦屋川駅は、
芦屋川に直交するかたちで
ホームがあります。
芦屋川の川上に山裾のこんもりに、
ヨドコウ迎賓館」が見え隠れ…

コンクリート造りなのに、
なぜか周囲の緑滴る自然と融和、
カモフラージュしているようにも
感じさせます。
アメリカ合衆国が生んだ
建築の巨匠
フランク・ロイド・ライト
1918年に設計した住宅建築です。

もとは灘の酒造業を営む八代目
山邑
(やまむら)太左衛門さんの別邸。
設計図が出来上がり、
設計料は支払われたのですが、
あの帝国ホテルの竣工さえも、
見ることなく
ライトは帰国してしまったとか。

途中 地元の人が名付けた
ライト坂」急勾配…

右手に建物最南端の
2階バルコニーが
ようやく姿をみせてきます。

1953年に人手にわたって、
別荘とか事務所に使われたのち、
戦後 淀川製鋼所の所有となり…
社長社宅、社員寮などを経て、
マンション計画で取壊しの
危機に見舞われます。
その後…重要文化財としての
評価がなされるに至って、
この地で
立ち続けることになりました。

玄関前の大きな花台。
大谷石でつくられたもので、
アメリカでは垂れ下がる
植物が置かれることが多いそうです。

長いアプローチの末
たどりついたのが、
車寄せ付きの玄関。



そして左奥へ…
何処が入口??と迷ってしまう、
向かって左側に入口がありました。

大人一人ほどしか通れない
そんな間口しかありません。
知る人ぞ知る隠れ家の雰囲気。

中央部には水が流れる仕掛け
手入れが行き届いていました。

振り返ると芦屋の街並み、
そして神戸港が臨めるベランダ。

コンクリート造りの部分にも、
変化が付けられていました。

館内にあった模型をみると、
段々畑のように整備された
丘陵に段違いに建てられている
ことがよく分かりました。

ライトは設計に取りかかる前に、
建設予定のこの地に
足を運んだそうです。

「夜行の急行列車で神戸に着く。
 朝から太陽の照りつける暑い日。
 芦屋の背景の六甲山系は、
 土の見える裸山。
 これは東京とは違って
 亜熱帯と理解したのだろうか。」
と。

同時期にロサンゼルス周辺の住宅を
手がけた「バーンズタール邸」。
酷暑から逃れるシェルター型住宅。

厚いコンクリート壁…

熱射を防ぐが風の流れを作る。
そんな工夫がそこかしこにありました。


「旧山邑邸 ヨドコウ迎賓館」

建築年:1924年(大正13)
設計 :フランク・ロイド・ライト(原設計)
    遠藤新、南信(実施設計)
構造 :鉄筋コンクリート造、4階建
所在地:兵庫県芦屋市山手町173
【国 重要文化財】

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