オーダーメイドの絵巻物

現代の絵画はまず作家さんの名前は?と、
描き手が注目を浴びるのが一般的
ですが、
画家が好きなように絵を描いてお客さんに売る。。。

 ということは、

今でも一部の著名作家以外に成立することではありません。



















 「信貴山縁起絵巻 尼公ノ巻」
  大仏殿の豪快な描き方は他の場面とはことなる。
  一場面に人物を何回が描かれているのは
  「異時同図法」とよばれるもの。



虎次郎が好きな絵巻物についてもその研究のメインは、
永らく “ いつ描かれたか ” につながる。
作者はだれ??ってことがテーマでありました。


















 「信貴山縁起絵巻 
延喜加持ノ巻
   勅使との対面。草木の描き方は山水画に通ずる。
   ここにも絵師たちが腕をふるう。。



日本画に限らず絵画は長い間
「オーダーメイド」
であったようです。
そのためにオーダーする立場の意向は強く、
絵師の作風さえ趣を変えることが多かったようです。


ですからどんな雰囲気でも描き出せるといった、

いわゆる便利屋が重宝されました。

絵巻物の多くはいわゆる「宮廷絵師」が集う
「絵所(えどころ)」がその担い手でありましたから、
この絵巻の作者は誰かというテーマはある意味、
そういう宿命のもとに研究しなければならない。

    ということがわかるまで、、
「なんでここまで苦労した大作に自分の銘を残さないの」
 ただひたすら定説に応ずるしかないジレンマを感じました。




















 「信貴山縁起絵巻 尼公ノ巻」
 命蓮との再開。。
 場面の建物は「
延喜加持ノ巻」と同一構図。
 建物と人物はちがう絵師が描いたことがわかる。
 いわゆる「絵所」での作成過程での分担作業があったよう。。。



いわゆる寺社の成り立ちを示す「縁起」については、
あの手この手でオーダーする側の「正当性」を求めていきます。


ただ、、絵師もその背景として自分らしさを潜ませます。
いわゆる手本帖(見本帳のようなもの)などを
  参考に描くことが多いのですが、
時には自分が貯めに貯めたデッサンやスケッチ、

中国の図様などのコレクションをまねることで、

サインのできない絵巻物に足跡をつけたようです。

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