猿田彦のミチを開くvol.5 椿岸神社
椿大神社の社殿隣にあるのが、
別宮である「椿岸神社」。
猿田彦大神の妻神
天之鈿女命が御祭神です。
椿岸の読み方は「つばききし」。
配神は太玉命と天児屋根命。
太玉命(フトタマノミコト)
天児屋根命(アヤノヤネノミコト)
岩戸神話に現れる太玉命、
太占にて占いを行った神。
天照大御神を招き出すために、
八咫鏡などを祭壇に飾り、
御幣を奉った神さま。
天児屋根命も岩戸神話にて、
天太玉命と共にあり、
祝詞を奏上したとされる、
五伴緒(イツトモヲ)の二柱。
ちなみに…天児屋根命は、
朝廷祭祀を司ってきた
中臣氏の祖神とされちます。
天細女命も五伴緒で、
鏡作りの神「石凝姥命」、
玉造りの神「玉祖命」の五柱。
瓊瓊杵尊が降臨する途中、
一柱の国津神が
行く手に立ちはだかった。
その素性を確認させるために
遣わしたのが天之鈿女命。
国津神はミチヒラキを…
無事に終えると、
瓊瓊杵尊はさらに命じて、
天細女命へ国津神に仕えよと…
ウズメの子孫がサルタヒコの
負名のウジとして、
猿女君の名を賜ったと…
宇治土公は男性神官として、
その一族たる猿女君は巫女を
指した呼び名になってゆく。
芸能の神さま…こちら「扇塚」
家庭円満・子宝神授・
芸能上達・念願成就
とある招福の玉。
「夫婦輪石」
サルタヒコのウズメのその後…
宇治土公とともに祭祀を
担ってきた猿女君は、
伊勢神宮成立を契機として、
中央出仕を余儀なくされます。
石窟前のウズメの祭儀と
サルタヒコの信仰伝承も、
中央に貢上されたのでしょう。
サルタヒコを迎えるウズメは、
アマテラスの復活儀礼へ転化。
ウズメは侍女的存在へ…
天孫ニニギに追随する
イツトモヲのひとりに
位置づけられます(T_T)
《淀江町稲吉の道祖神》
で…サルタヒコ。
天孫ニニギを奉迎する
衢神=道祖神へ変身。
椿岸神社にある「かなえ滝」、
奥宮のある入道ヶ嶽から
湧き出る水は、
禁足地 禊払いの場とされる
金龍明神の滝の流れ。
パワースポット・ブームで、
ググってみると…
「待受画面にすると、
恋愛運がアップ」とか???
古来宮中から行われる
「宇気槽の儀」のこと。
(うきふねのぎ)と読みます。
新嘗祭の前日 冬至の時期、
宇気槽と称する箱を伏せ置き、
女官が乗って桙(ほこ)で
宇気槽の底を10回突く。
天鈿女命が槽に乗って
踊った様子に通じます。
岩戸隠れの「暗闇」とは、
「冬至」と符合します。
儀式は猿女君の巫女が務め、
活力を高められる、
すなわち「元気回復」の
ご利益を頂けるのだそうです。
※このブログは
鎌田 東二 編『謎のサルタヒコ』創元社 1997年
を参考にしました。