村野藤吾のファサード⑧ 都ホテル大阪


ひさびさに村野藤吾のファサード。
近鉄の上本町駅と直結のホテル
都ホテル大阪」。
最晩年の設計で、竣工時には
村野さんは亡くなっておられたため
遺作の一つということになります。

「施主との巡りあいによって、
 建築家の運命がかわることもある。」
大阪歴史博物館で行われた村野さんの
特別展の図録にあることば。

村野と近鉄との関係
近鉄の前身である大阪電気軌道、
大阪鉄道の時代にさかのぼる。」
いわゆる上本町駅周辺は、
近鉄と村野藤吾によって創られた。
それは過言ではありません。
高層棟のファサードに現れる
凸凹は壁の外側に客室の空調機を
突出させているため。
アルキャストのパネルで覆うことで、
直線的な陰影を生み出しています。

最上階の設えも村野の思いが
残されています。

地下駅のための給排気塔。
その造形は圧倒的だが、
低層部を支える列柱ではなく
構造上柱ではないのに、
ドッシリと…
村野さんのワークがここにあり。



そのドッシリとした根の張り方は、
建物内部からも印象づけられています。

カーブの使い方。

直線と曲線

隣接する近鉄上本町ターミナルビル、
彼の設計だからこその連結には、
バランスが図られています。
デザインはまさしく村野さん好み、
村野デザインの結実のよう…



4階の和室の有楽庵
織田有楽斎の茶室・
如庵 (じょあん)
本歌=モデルとしたもの。

村野さんが独自に開発した
光天井」が使われ、
本来薄暗い茶室に彩りが
添えられています。

中柱と有楽窓。
こちらは MURANO designに残る
外観スケッチ。
低層部、中層部、高層部と、
3段階に分かれた立面の様子が、
よくみてとれます。


「都ホテル大阪」
→シェラトン都ホテル大阪
竣工年:1985年(昭和60)
設計 :村野藤吾/村野・森建築事務所
構造:RC造、地上21階・地下2階
所在地:大阪市天王寺区上本町6-1-55

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