あずまくだりんvol.2 帝国図書館〜国立子ども図書館へ


上野駅に降り立つとついつい…
ルーチンで歩いてしまう虎次郎、
東京国立博物館に直行してしまう。
今回は敢えて"東博"を横目に…
"国際子ども図書館"へ。


1906年(明治39)に
帝国図書館として建てられ、
その後1929年(昭和4)に増築。

レンガ棟とよばれる従来からの建物は、
ルネッサンス様式の洋風建築

緩いアーチの大きな開口窓が印象的、
外壁は明灰色の
白丁場石とよばれる安山岩の一種と
フランス積みのゴマ掛け煉瓦

金土はライトアップされて、
また違った印象を魅せるとか。

ちなみに入場は無料です。
明治期建築部分には3種類の煉瓦、
内側部分と階段まわりには、
"白薬掛け煉瓦"が使われています。

吹き抜けの"大階段"
創建当時から使われていて、
1階の床からだと天井までは
およそ20メートル。

壁で支えているため、
内側に柱がありません

階段の裏側にフローリングが
貼られています。

鋳鉄製のアメリカ製の手摺りは、
現代の安全基準を満たすため、
改修工事でガラスの手摺りが
加わりました。

柱頭の飾りも当時のまま。

ケヤキ扉に"おす登あく"

レンガ棟の改修の施設設計には、
安藤忠雄さんが参画。

ガラスボックスで囲われたことで、
もとの外壁を間近に感じることが
できるようになっていました。

2階の廊下窓は、
明治期の木枠を白く塗って補修、
当時の風合いの手ふきガラス
ドイツから新たに取り寄せはめ込み。

要石もこんな風

3階ラウンジ 本のミュージアムの
大窓は創建当時の木枠をそのままに。

3階ホール南側のアルコープから、
外壁外周に出ることができ…
メダリオンを間近に。
神奈川県の湯河原産の白丁場石、
安山岩の一種が使われています。

展示会「東洋一」の夢 帝国図書館展
こちらも無料でした!

帝国図書館時代には、
普通閲覧室として使用されていた部屋。
展示塔は当時からあったものですが、
補修をされています。
展示パネルや平面図など…

1897(明治30)年4月の勅令により、
設立の第一歩が踏み出され、
1900年3月着工で6年後に竣工、
ただ全体計画の4分の1の
大きさでのスタートでした。
昭和期に増築されたものの、
約3分の1に留まり未完成とか…
その理由は世界恐慌や戦費増大など、
国の財政難が理由でした。




天井や壁には漆喰装飾



2本のコリント式の柱に挟まれた
両開きの扉が2つ。
右側は書庫へと通じる扉、
左側はかつて分電盤の設置場所。
構造体に使われている100年以上前の
赤レンガがここで見られます。

木製建具は"エディキュール"、
小さな神殿」を意味します。

ドーマー窓に避雷針
避雷針は鉄製からアルミニウム製に…
平成期に元から型を取り4ヶ所交換。

帝国図書館は久留正道、真水英夫、
岡田時太郎
の3人が携わっています。
真水英夫は和風要素の案を提案、
受け入れなかったこともあり、
岡田時太郎が工事監督を
引き継いだ
そうです。
日露戦争後に満州に赴き、
従軍して軍関係の建設に従事…
戦中日本で大きくその方向を
左右されたとも言えます。




アーチ棟南側へ

全面ガラス張りのカーテンウォール

旧帝国図書館も中庭に面した部分は、
神戸芸術工科大学名誉教授の
坂本 勝比古さんの保存指導によるもの。

既存のデザインと共生した
新しい空間を生み出たのが、
安藤 忠雄さん。
エントランスからカフェテリアを収める
ガラスボックスと、
裏外壁の東西を貫くガラスボックスを
交差させたデザインは彼のデザイン。

1階の小さなアーチ窓は、
"子どものへや"の
小さな本紹介のスペースに…
東京帝大時代の小泉八雲
教え子であった土井晩翠が、
若くして亡くなったご子息の遺言により
1935年に建立した"小泉八雲記念碑"。

台上には天使が壺を囲む
銅像 小倉右一郎 作「蜜」
当初はその壺から
水が流れる作品だったそうです。


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