ゼロロクの尼崎⑥ 阪神尼崎のレンガ倉庫

阪神尼崎駅に停まると
いつも見える赤レンガ。

古くは火力発電所として
使われていたそうで、
いまは阪神電車の倉庫として、
利用されてるそうです。

赤レンガの趣ある雰囲気が
歴史を感じさせます。

阪神電鉄の開業は
1905年(明治38年)のこと。
3年後の1908年には
電力事業も開始したそうです。
発電された電気は
主に電車の走行に使用でしたが、
沿線では一般にも配電していたとか。
例えば九州の西鉄は
東邦電力の鉄道部門でしたし、
京福電鉄は京都電燈の鉄道部門、
関東圏でも京急は大師電気鉄道、
江ノ電は東京電燈、
箱根登山鉄道は日本電力…
東急も京王にも
発電事業部門がありました。
火力に限らす水力発電所
保有していたところも多かったそうです。
不動産開発を進めていた電鉄会社は、
宅地開発には
電気を引くことが必須のアイテム。

なかでも京阪電車の沿線の宇治には、
宇治川電気がありましたし…
京阪電鉄の発電部門である大阪送電
日本水力が合併した大同電力は、
北陸地方の神通川、手取川などに
大規模発電所を建設、
最終的に大同電力が
宇治川電気に配電させるのですが、
関西の顧客をめぐる争いに
繋がっていったという歴史がありました。
阪神の元火力発電所である赤レンガは、
1905年(明治38)の建てられたもの。
本社の建物はその1年後に完成したので、
ここが「阪神創業の地」とされているようです。
電車と電力の話に戻ります。
電力会社数は、なんと1930年頃には
実に約850社にのぼったそうです。
その後太平洋戦争がはじまって、
電力も国のコントロールが行われます。
1932年には5大電力会社が
三井、三菱、住友、興銀の銀行陣と
逓信省の斡旋によって電力連盟が設立。
実質的な価格カルテルによって、
シェア争いに伴って永年繰り広げられた
価格競争が幕引きとなります。
その後信省は全面的に電力業界に介入、
1938年には日中戦争の勃発を口実に
全ての電力設備は強制的に国有化されて、
9つの配電会社に再編されことが、
いまの電力事情に引き継がれているのです。

「旧阪神電鉄尼崎発電所」

建築年:1904年(明治37)
設計 :茂庄五郎? ※
所在地:兵庫県尼崎市北城内116

茂 庄五郎(しげ しょうごろう)[1863-1913]
明治時代に関西で活躍した建築家。
関西の建築設計事務所設立の草分けとして、
また工場建築を多く手がけたことで知られる。
尼崎紡績技師となり、尼崎工場の設計監督を行った。
1895年(明治28年)に大阪に茂建築事務所を開設した。
東洋のマンチェスターと呼ばれた大阪において工場建築に着目、
関西の多くの工場建築の設計監督に携わった。

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