金刀比羅宮 書院の美(1)遊虎図
7月19日に上野探索をした
もう一つの目的は、
東京藝術大学 大学美術館で
行なわれていた
「金刀比羅宮 書院の美」の
「応挙の虎」を
見ることでした。
金刀比羅宮の書院に描かれた障壁画から、
襖絵など約130面を美術館に移動し、
可能な限り書院の空間を展示室内に
再現した画期的な企画展です。
実際に金刀比羅宮に行っても
これだけの襖絵を見ることは出来ませんし。
これほど大規模に境内外で公開されるのは、
おそらく最初で最後になるのかもしれません。
虎次郎の好きな若冲の絵もあり、まさに爽快な展示でした。
伊藤 若冲の「花丸図」は奥書院の上段の間のもの、
6畳の和室を囲む襖と壁に201点の花々がぎっしり並び、
まさに百花繚乱の世界を室内に広げた作品です。
室内空間を芸術表現の場にしている若冲の創作スタイルは、
現代アートの空間芸術にも通じるものがあります。
実は若冲は、金刀比羅宮でほかに三つの部屋に
絵を描いたということがあり、
1764年、上段の間に花丸図、二の間に山水図、
三の間に杜若(かき つばた)図、
広間に垂柳(すいりゅう)図を描いていたとか。
80年後、傷みが激しくなったので、
上段の間以外の部屋は
岸岱(がんたい) (1785~1865)によって
描き直されたといいます。
障壁画の大きなものについては、
キャノン株式会社のデジタル技術を駆使した大型プリントを
壁に貼って持ち出せない作品についても
東京藝術大学の地に再現した!!
キャノンさん凄いっ!!
展覧会は9月9日までやってます!!(・ω・)v
「遊虎図(水呑みの虎)」
1787年 円山 応挙
東、北、西の三方を囲む襖16面に様々な姿態の虎を
8頭描いている。空間は奥行きがほとんど表現されず、
そのため虎の姿も 襖の前面にせり出してく るような
印象で、見る者に圧迫感を与える。
このうち、東面の川面に顔を寄せて水を飲む虎は
「水呑みの虎」、北面の松の下で正面を見据える虎は
「八方睨みの 虎」として有名。
「花丸図」
1764年 伊藤 若冲
部屋の四周を取り囲むあらゆる壁面を切花で
埋め尽くす構成は、6 畳という部屋の狭さも
あってどこか息苦しいような圧迫感がある。
約200を数える花は格子状の枠の中に整然と
配置される。モチーフを増殖させることで濃密 な
表現世界を作り出す手法や格子状のパターンは
若冲が好んで用いたもの。落款などはないが、
個々の花や葉には、若冲独特の円形の虫食い穴や
しみも見られ、 濃厚な賦彩(色づけ)や緻密な描写
から見ても若冲画であることは疑いない。
金刀比羅宮 書院の美
― 応挙・若冲・岸岱 ―
場所:東京藝術大学 大学美術館
( 東京都台東区上野公園12−8)
会期: 2007年7月7日(土)
-9月9日(日)
月曜休館
(ただし7月16日、8月27日は開館、
7月17日(火)、8月25日(土)は閉館)
午前10時~午後5時
(入館は閉館の30分前まで)
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◎円山 応挙 まるやま・おうきょ(1733-1795)
江戸時代の京都画壇を代表する画家。
師の手本を見ながら描く伝統的な手法に対し、
実物を目の前にして観察しながら描く写生の重要性を唱え、
円山派をなした。平明で庶民的な応挙画は、京都の町民層を
中心に圧倒的な支持を得、京都の画壇は応挙の画風に染まった
と言われる。50代の時に取り組み始めた金刀比羅 宮障壁画の
制作は、天明7年(1787)と寛政6年(1794)の2度に及んでいる。
◎伊藤 若冲 いとう・じゃくちゅう (1716-1800)
徹底した自然観察に基づく写実的な描写と豊かな想像力による
奇抜な構図や配色の表現を融合した若冲はユニークな 画風を
確立した。「奇想の画家」として近年特に再評価が進んでいる。
裕福な青物問屋の長男として生まれ家督を継ぐが、40歳で引退し
画業に専念した。明和 元年(1764)制作の金刀比羅宮の
《花丸図》では、空間を花卉図で埋め尽くし、見るものに迫る
圧倒的な空間を作り出している。