日本人の嗜好をさぐる② 肉食


《名所江戸百景 びくにはし雪中》
 歌川広重


肉食…美味い牛丼弁当は大好物。
年末の大宴会はいつも"すき焼き"、
冬までには鍋を囲める日常が
戻りますように。
牛馬の肉を食べること
禁忌だった戦国から江戸期、
豊臣秀吉はポルトガルの
宣教師に対して、
獣肉食を「曲事である」と…
不正であると詰問したそうです。

《道外十二支 亥》
 歌川国芳


広重の名所江戸百景「山くじら」、
綱吉の時代は取り締まられたが、
庶民は相変わらず肉を口に…
ただ隠語をもちいて食しました。
山鯨とは猪の肉のこと…
比丘尼橋を越えたのだから、
宜しかろうということ。

《紅葉鹿図》酒井抱一

猪肉の鍋を「牡丹鍋」…
牡丹の花のように
並べたこと因みます。
鹿肉は「もみじ」
獣肉にはそれぞれ隠語で、
呼ばれていました。
《岩藤熊萩野猪図屏風》
 望月玉泉


花札の絵札は牡丹は蝶
ではなぜ猪は七月の萩なのか?
吉田兼好の徒然草』には、
萩の生えるところを、
臥猪の床(ふすいのとこ)
として知られていて、
天下泰平を表す画なのです。

《名所江戸百景 四ツ谷内藤新宿》
 安藤広重


馬とか牛とかは食していたのか?
重要な移動手段の担い手でして、
食するために飼っていたのでは、
ありませんでした。
広重の描く馬には草鞋
ただ「桜肉」として
好まれていたのは事実。
諸説ありますが…
切り口がわずかに
桜色になるとも、
幕府直轄の牧場が
千葉県佐倉市にあったとも。

《外国人料理之図》
 歌川芳員
1860年

肉食がオープンになったのは、
開国と文明開化によるもの。
ただ彦根藩だけは、
江戸期も牛肉生産が
唯一認められていました。
薬用牛肉なるものを献上、
その名も「反本丸」とか…
いまでも近江牛味噌漬として、
その名を残しています。

《不動明王開化》
 河鍋暁斎


仏教の守護者の
不動明王が牛鍋を待ち、
新聞雑誌を読んでいる姿…
文明開化が仏教に大きく影響、
神道重視の政府の意向は、
神仏分離で廃仏毀釈へ。
自粛に耐えかねたのか(T_T)

《道外十二支 てっぽうの亥》
 歌川国芳


最後も亥にしめてもらいましょう。
トラフグを進められる亥、
困惑するのはフグの隠語は、
鉄砲」だから…
当たったらタイヘン〜〜(T_T)

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