大坂の伝統野菜たち① 吹田慈姑


《五畿内産物図会》より
宮前大根・本庄茄・吹田くわゐ


江戸のことばかり
綴っていたので、
なにわのことも…

おおさか東線「南吹田駅」レポ
紹介していたのですが、
改めて…

《摂津名所図会》吹田

吹田慈姑の記述は、
300年前に貝原益軒が著した
大和本草』に見られるのが、
最初だと言われています。
食通で知られた 蜀山人も、
「思い出る 鱧の骨きり すり流し
 吹田くわいに天王寺蕪」

という狂歌を残しています。

吹田市のキャラクター
 「すいたん

万葉集には慈姑と
思われるものを詠んだ
歌が二首あるなどして、
古くから知られていました。

京都の御所にも毎年献上、
実は吹田の地は江戸期に、
仙洞御所の御料地でした。
その繋がりもあって、
菊の御紋の大名駕籠を
模した献上駕籠に乗せ、
御所に届けられたそうで、
昭和初期まで続いたそうです。

『和漢三才図会』より烏芋・慈姑

慈姑はもともと中国原産と
考えられていましたが、
植物分類学の父と呼ばれた
牧野富太郎 博士により、
吹田くわい」に学名が
名づけられたことで、
中国からの渡来のものと
区別されるように…
実は1935年になってからの
ことなんです。



室町時代まではクワイは、
烏芋(クログワイ)のことを
指していましたが…

そもそも慈姑という字、
中国の明の時代『本草網目』、
「くわいは1年で1根で
 12子が出来る。その姿が
 慈しみ深い(慈愛)お母さん 、
 ()が子供達を
 養育する姿に似ている」
ことに由来しているとか…

吹田くわいは「オモダカ」が
成長進化したもので、
初夏には白く可憐な
花を咲かせます。
吹田慈姑はひとつの茎から、
雄花と雌花が同時に
咲くのだそうです。
すいたん」の茎にも
白い花が咲いています。
コロナが収まって、
見に行けるとよいなぁ〜。


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