大坂の伝統野菜たち⑤ 田邊大根


ち密でやわらかく甘味強し、
煮物にも甘漬けにもあう。
葉裏に毛がないため、
葉も美味しく食べられる。
野菜の乾物文化は、
田邊大根」がなければ、
おそらく花開かなかったかも…
漬物早指南』より

割干し大根や切干し大根に加工、
干すことで甘味・旨味を凝縮、
長期保存ができて
江戸時代の食を支えました。
「田邊大根ゆかりの地」の
碑が立つのは、
上町台地の端に位置する
大阪市東住吉区田辺にある
真言宗泉涌寺派の法楽寺さん。
第二次大戦中までは、
律院としての戒律寺院…
戦後は「田辺のお不動さん
として地元に親しまれるお寺。

境内の真ん中に出で立つのは、
平成の木造三重塔です。
江戸時代のこの辺りは、
水害に度々見舞われました。
痩せた土地でも育つものを、
との心意気で育ててきたのが
田邊大根」なのです。
近江の伊吹山大根
京大根の掛け合わせ、
白色の円筒形で末端が
少し膨らんでいて、
丸みを帯びたフォルム。
本堂の横にレプリカが
横たわっていました。
法楽寺の本堂では、
田辺大根箸置き
売られていました。
1836年(天保7)の
名物名産略記』にも登場。
イマドキの青首大根とは
一線を画す風体をしていて…
ずんぐりむっくり
実際の大きさは長さ20センチ、
太さ6センチほどです。
生で食べると辛く炊くと甘味、
煮崩れもしにくいとして、
どんどん普及していったのです。
『漬物早指南』より

トゲがない葉の部分も
お漬物にもってこいと
重宝されていたのですが…
栽培が難しく冬にしか
収穫できない田辺大根は、
宅地化とともに田辺での
存在が消し去られました。
田邊大根の改良種を「横門大根
と呼んでいたとか…
法楽寺西側の門が横門とも、
寺周辺には改良された
田辺大根の産地だったと
伝わっています。
地下鉄谷町線 田辺駅のほど近く、
郷土銘菓 田辺大根」。
1925年発行『郷土史田邊町誌』に、
「本町にあっては遠き昔より
 其の風味頗る美にして、
 各方面の歓迎を受けたる
 大根を特産せり。
 是れ当地の土質が大根の
 栽培に好適なると、
 栽培法に熟練せるとに
 よれるものにして、
 世に之を田邊大根と称し、
 其の名全国に聞えたり。
郷土野菜の復活を願って、
作られたお菓子…
カルカンで生姜味の羊羹
挟んだお菓子でした。
大根の葉っぱがみえます。
実は一つ当たりの109kcalとか…
ヘルシーに美味しく頂きました。

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