大坂の伝統野菜たち② 玉造黒門越瓜


《獣戯画 鼠曳く瓜に乗る猫》
 河鍋暁斎
1879年 

鼠と瓜は一緒に
描かれることが多いのですが、
暁斎が描くのは猫をのせた
白瓜を引いています。

今回紹介するのは、
「玉造黒門越瓜」
大坂城の玉造門が黒塗りで、
黒門と呼んでいたことに因む。
越瓜」と書いて
しろうり」と読みます。
玉造稲荷神社では境内で
玉造黒門越瓜の栽培が
行われていています。

漬物早指南』より干し瓜の図

江戸の漬物屋が出版した
『漬物早指南』に描かれる図、
白色の縦縞があって糟漬けに、
まさに絶品としてして
浪花名産の一つと
されていました。

「黒門といえども 色はあおによし
 奈良漬にして 味をしろうり」

狂歌師・鯛屋貞柳の一首。
天王寺区下寺町の光伝寺に
貞柳の墓所があるそうです。

1836年の『名物名産略記』にも、
天満白大根、田辺大根とならび、
玉造黒門越瓜」がみえます。

《蔬菜図鑑》呉春

もうひとつの越瓜が、
「服部しろうり」です。
酒どころが近く富田の
酒粕を使って富田漬として
加工されていました。
1843年の服部村明細帳には、
「富田で造られる粕漬けに
 専ら使用される」
と…

《菜蟲譜》より
伊藤若冲が描いた《菜蟲譜》、
そのラストには白瓜。

前半は野菜や果物、
そしえ後半には昆虫や
爬虫類など…
なぜ瓜を最後に
もってきたのか?

《瓜鼠図》清・八大山人

実は瓜は子孫繁栄を象徴の
おめでたい食べ物とされ、
子だくさんのネズミ
組み合わされが画題として、
定着していたのです。

《唐瓜図》 伊藤若冲

若冲も瓜への想いは、
あったのかと想像されます。

《婦女人相十品 ビードロ》
 喜多川歌麿


瓜実顔って日本人らしい
美人顔って言われます。
その代表的な浮世絵は、
誰もが知るこの画。

《風流無くて七癖 遠眼鏡》
 葛飾北斎
(1801年ごろ)

実は…江戸前期は、
将軍正室は顔が細長く
顎が小さく。
側室は顎のしっかりした
庶民顔だったそうです。

《瓜図鐔》
 和泉市久保惣記念美術館


ただ…江戸後期になると、
正室も側室もみな
細長い顔とか…
浮世絵に描かれた瓜実顔
目の細い “美女” はその象徴。
野心を持った連中が
将軍の側室にするために、
面長な女性を大奥へと
送り込んだのかも知れませぬ。

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