南海ホークスをたずねてvol.5 球けがれなく 道けわし
大阪球場の跡地に立つ、
なんばパークスにある
手形付きのレリーフ
漫画家 水島新司さん。
「あぶさん」の横顔に
"球けがれなく 道けわし"。
なんばパークスは、
1998年に解体された
大阪球場の跡地に立つ、
南海の再開事業で。
2003年10月に第1期、
2007年4月に第2期が開業。
アメリカ人建築家の
ジョン・ジャーディの設計、
地球上の大峡谷に似せた外観は、
スター・ウォーズに出てくる
宇宙都市のようにも見えます。
8階の野外円形劇場も、
11月にもなると…
イルミネーションの一場面に。
当時のスタンドの形状をデザインは、
超過密な立地に建設された
大阪球場の最大傾斜37度の名残とも。
マツダスタジアムの傾斜は、
最大約19度と比較しても、
急勾配だったことを忍ばせる。
37度という傾斜は、札幌にある
大倉山スキー場滑走路の角度と同じ。
グラウンドに近い指定席は、
さすがになだらかだったものの、
上の自由席に行けば行くほど急峻…
手すりもなかった と記憶しています。
宇宙船のような施設のフォルムとは、
まさに隔世の感が募ります。
『あぶさん』こと景浦安武の
モデルとなったのは、
元プロ野球選手の永淵洋三さん。
「大阪は
13年間過ごした第二の故郷。
大阪球場には懐かしい
思い出がたくさんある。
その一つが野次。
南海ファンの野次は凄くてね」…
多くの読者が抱いている
「あぶさん」には、
大阪と福岡で別のモデルが
存在しているという思い…
『ビッグコミックオリジナル』
という大人向けの連載だった。
酒豪とかアル中の設定がスゴイ、
普段は手が震えていて、
酒を口に含み「酒しぶき」を
バットに吹きかけると…
地味な社会人チームを
転々とするが、光は当たらない。
居酒屋「大虎」でヤケ酒を
飲んでいたところを南海スカウト、
岩田鉄五郎に見いだされ、
ドラフト外で入団…
野村克也でさえも南海時代の
プレイングマネージャーのころは、
「いぶし銀」を見出すのに苦労した。
初期の『あぶさん』には
ヤクザやダフ屋という、
今で言う「反社な」キャラが
しばしば登場していました。
「借金苦で思いつめた男」が
ダフ屋から売れ残った南海の
チケットをもらうという一話。
そこで景浦のプレーを見て、
生き直すキッカケを…
1980年になって水島マンガの
愛称を冠した選手が入団した。
浪商高校の4番キャッチャー、
3年春夏の甲子園で5本塁打、
香川伸行さん その人である。
高卒新人8本の記録は、
清原和博 31本、豊田泰光 27本、
張本勲 13本、中西太 11本、
松井秀喜 11本に続く記録。
水島新司さんの描いたドカベン香川。
リストを柔らかく使い、
ライナー性の打球でスタンドに
突き刺す技術とパワー。
野球にタラレバは厳禁だが、
門田博光がアキレス腱断裂から
復帰しDHとなった年にプロ入り、
香川が若くして助っ人を押しのけ、
指名打者になっていたら…
門田・香川のKKコンビが
誕生していたやも知れませぬ。
永淵洋三さんのこと…
実は南海ホークスではなく
近鉄バファローズのスラッガー。
引退後、佐賀県で焼き鳥屋
「あぶさん」を営む。
酒好きでノンプロ時代、
飲み屋でツケがたまり、
返済のために近鉄に
ドラフト2位で入団。
エピソードはまさに「あぶさん」。