村野藤吾のファサード③ きんえいアポロビル(大阪市阿倍野区)


村野藤吾さんは近鉄関係の仕事を
多く手がけられました。
あべのハルカスに近い、
きんえいアポロビル」も
彼の設計なのです。

どっしりとした姿は、
スカートの裾を広げるように
両脇を飾るコンクリートの造形。



新聞スクラップにあったスケッチ、
日本万国博覧会直前の
新聞連載記事の片隅に
描かれたものだそうです。

4.0☓4.5センチほどの
小さなものですが、
建物の特徴がよくみてとれます。



をかたどった開口部。

ヴェランダ状のくぼみ…
そこにある装飾格子には、
建築全体がどのように
印象づくのかを考えた、
これぞ村野ワーク。

両端に付く細いビルの角は、
アールにも村野さんらしさ。



内部は、ビルの使われ方の
時代変化にともなって、
意匠が変わっています。

地下2階 吹抜けまわり

地下1階 吹抜けまわり

地下2階 エスカレータ付近

それぞれ1972年ごろの撮影、
アポロビル写真アルバムに
残された記録です。

ちょっと地階のアールが、
感じられるかも知れません。

村野さんは、
巨大なカーテンウォール
あまり好まなかったそうですが、
「ここではそれをいかに
 ヒューマンスケールに見せるか
 苦心していた」そうです。

映画館のほか6階にアポロホールが、
かつては存在していたそうで、
アリスばんばひろふみらの
アーティストのルーツでもあります。

あべのハルカス」が聳える地には、
村野ワークの外観の一部が残っています。

こちら1988年増築後の外観。

鳥に葡萄唐草文の装飾格子が、
北・西側ヴェランダを
かつては飾っていました。

もとは
1937年(昭和12)に建てられた、
大鉄百貨店がもと…
水平連続窓に水平ラインのデザイン。

1957年増築のころは
こんな外観だったとか。


「きんえいアポロビル」
近映レジャービル アポロ→
竣工年:1972年(昭和47)
設計 :村野藤吾
構造 :鉄筋コンクリート造、
    地下5階・地上12階・塔屋付
所在地:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-5-31

このブログの人気の投稿

異界との出入り口《春日権現験記絵》

2015あけおめ!!

神戸山の手をあるく〜旧ディスレフセン邸