ナマズの捕まえ方?? 特別展「妙心寺」
室町時代に如拙が描いた「瓢鮎図」。
ひょうねんずと読みます。
鯰という字は国字で、
中国では日本のアユの字です。
ちなみに中国語では鮎を
「香魚(シャンユー、xiāngyú)」
というそうです。
今日 2月10日からこの絵を
東京国立博物館で見ることができます。
「瓢箪で鯰をおさえとることができるか」
この絵のオーダーは
時の室町幕府の第四代将軍
足利 義持(あしかがよしもち=1386-1428)。
絵の上にあるのが問いに対する答え??
高僧らがこう連ねています。
周宗は、
『瓢箪で鮎を押さえつけるとは、
なかなかうまいやり方だ。
もっとうまくやろうなら、
瓢箪に油をぬっておくがよい』
梵芳という人は、
『瓢箪でおさえた鮎でもって、
吸い物を作ろう。
ご飯がなけりゃ、
砂でもすくって炊こうではないか。』とある。
ひとを食った問い掛けで
遊んでいるとしか思えない。
この絵にそんな背景があるのを知ると、
水墨画という気難しそうな絵も
興味が湧くかも知れませんね。
義持を中心とする集いが
いかに自由な雰囲気であったかを示すモノ。
当時の権力者が知的な遊びに
興じていたことを示している。
この絵が国宝になっている理由の一つです。
ところでこの
絵の居場所、
京都の妙心寺の退蔵院の
軒丸瓦には、
ナマズ
が描かれているそうです。
←「退蔵院」のHPへ
少し古い本だが、
『絵は語る』というシリーズが
平凡社から出されています。
島尾 新 さんが出された
『瓢鮎図 - 如拙筆
ひょうたんなまずのイコノロジー -』
シリーズには
『源頼朝像』や、雪舟の『天橋立図』、
宗達の『松島図屏風』
酒井抱一の『夏秋草図版屏風』なんかが連ねます。
さまざまな成果を駆使した本著、
ナマズの民俗学からヒョータンの神話、
果ては鬼の文芸史なんかもとりあげられています。
そもそも美術史は作者が誰か、
それはいつ描かれたに繋がる。
それを探るのが美術史研究と言われていました。
虎次郎が美術史をベンキョウしていた頃は、
民俗学的な成果や神話的な伝承を
その解析の手段に用いることはあり得ませんでした。
さまざまな試みがなされています。
「瓢鮎図」をもっと捕まえたいのなら。。
大型本でちょっと重いが、、、
おススメの一冊であります!!
特別展「妙心寺」
東京国立博物館
3月1日(日)まで
京都国立博物館
3月24日(火)
〜5月10日(日)
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