京都モダン建築祭2022 京都府庁の桜たち


京都府庁旧館は中庭を囲む
ロ字型にて設計されており、
中庭で咲き誇るの桜たち
とても有名なのです。

(京都府庁HPより)

ひときわ艶やかな姿を映すのが、
円山公園の初代 祇園枝垂れ桜
孫にあたる実生木の枝垂れ桜
正式には"一重白彼岸枝垂桜"といい、
初代は1949年に樹齢220年で
枯死しましたが、今のは二代目。
樹齢約80年を数える大木ですが、
最近 花をつける枝が少ないようで、
カラスの巣作りの影響
とも…

中庭の印象を取り囲む表情は、
すこし異なっています。

庁内配置図の1階にも
中庭に桜が描かれています。

京都府のスタートは
1868年(慶応4)4月29日のこと、
京都裁判所から名を変えスタート、
政庁をはじめ二条城の南側に。

今の府庁の敷地に移転されたのは、
1869年(明治2)のことで
京都守護職の上屋敷がありました。

府庁中庭に異彩を放つ山桜
5枚花弁で通常のに比べて大輪、
花をつける柄=花梗(かこう)が長く、
一文字状に咲くのだとか…

桜守の佐野藤右衛門さんが
命名した "容保桜"の名は、
松平家第14代当主 松平 保久 氏、
そして京都會津会会長
京都外国語大学総長の
森田嘉一 氏の了解によるとか…

府庁の歴史に戻ります。
1871年(明治4)になってこの地は、
京都府中学校の新設の地になり、
ふたたび二条城内に移転されるのです。

京都府中学校は国学、漢学、洋楽など、
学校の管理運営機関でもある
学務局の役割を担っていました。
こちらは旧京都中学校正堂
中学校が1885年(明治18)に
寺町丸太町上ルに移転すると、
府庁がこの地に戻ったのです。
15年の間はこの正堂を含め、
教室棟も事務室に充てていたとか。
中庭には6種7本の桜があり、
中央にあるのが"衹園しだれ桜"、
紅一重しだれ桜、紅八重しだれ桜、
大島桜、"容保桜"。

開花の最後に花をつける "はるか桜"、
福島県から来た「はるか」の苗木、
植樹されたのは2015年2月のこと。
福島・東北復興応援のシンボル、
大河ドラマ「八重の桜」新島八重役の
綾瀬はるかさんに因む八重桜。
"思川(おもいがわ)"※1と
"手弱女(たおやめ)"※2の
交配新種です。

容保桜ともに中庭を構成しているのは、
五条大橋橋脚の石柱です。
旧本館の庭園の設計は、
七代目 小川治兵衛が手掛けたもの。
旧本館竣工の1904年(明治37)に、
景石として持ち込まれたのです。
1877年(明治10)の
五条大橋改修で余った橋脚でして、
「天正拾七年五月吉日」の刻がある。

こちらが正庁の間のある
正面階段のある壁面。

中庭を作ることで庁舎の各部屋への
採光が図られているのが、
よくわかります。

次回はいよいよ京都旧府庁の
議事堂へご案内します。

※1 思川の桜
 淡紅色の10片の花びらを持つ
 栃木県小山原産の桜。
 1954年に発見された十月桜からの突然変異。
 紅色を帯び10枚の花弁で、
 ソメイヨシノに遅れて一週間後くらいに開花。

※2 手弱女の桜
 原木は京都の平野神社の境内にあります。
 手弱女とは、しとやかで優美な女性の意。

★ 京都モダン建築祭 公開データ ★
京都府庁旧本館
公開日時 : 11月11日(金)-13日(日)
       11月11日 10:00〜17:00
       11月12日-13日 13:00〜16:00
公開エリア: 旧議場、旧知事室、中庭
竣工年  : 1904年(明治37)
構造・規模: 煉瓦造一部石造、
       正面および背面に車寄せ付
       地上2階、一部地下
設計   : 松室重光、久留正道、一井九平
施工   : 三上吉兵衛
作庭   : 七代目小川治兵衛
所在地  : 京都市上京区
       下立売通新町西入薮ノ内町
[重要文化財]

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