iza KAMAKURA vol.6 鎌倉雪ノ下あたりの建物たち


鶴岡八幡宮境内にある"鎌倉国宝館"、
1928年4月3日に開館した博物館。
鎌倉の地の文化財は鎌倉~室町期制作、
宋・元からもたらされたものが多く、
畿内と比べ異国的な味わいがあります。
設立の契機は関東大震災で、
多くの社寺が倒壊し損失を受けました。

本館は国の登録有形文化財でして、
鉄筋コンクリート造による
高床式校倉風建築
設計は日本銀行小樽支店の設計で
知られる岡田信一郎によるもので、
施工は当時の松井組(今の松井建設)。

外観を奈良の正倉院に模し
内部は鎌倉時代の
寺院建築の手法が用いられています。

内部は虹梁大瓶束形式
採光用越屋根の棟を支える造り。
※内部写真はHPより転載

「我ひとり かまくら山をこえゆけば
 ほし月夜こそ 嬉しかりけれ」
常陸
鎌倉を詠んだ平安時代の和歌、
その星月を象ったステンドグラス
手掛けたのは小川三知さん、
東京都文京区にある旧鳩山邸、
東京上野の黒沢ビル、
東京都新宿区 小笠原伯爵邸などに、
その偉業が残されているそうです。

和風表現と近代的技法の調和、
その苦心した跡がうかがわれます。

年間を通して定期的に展示内容を
変更されていて…
北条氏康展が行われていました。

タイトルにあるように、
このあたりの地名は"雪ノ下"。
鶴岡八幡宮にある古い書物によると、
源頼朝の食事に雪を出すため、
雪を貯蔵しておく雪屋を
八幡宮の裏あたりに保存
したため。
このあたりは「ゆきのした」という
草が多く自生していたとも。

段葛をはさんで雪の下あたりの、
近代化遺産をいくつか…
こちらは"湯浅物産館"。
木造の建物の前に装飾を施した
"看板建築"と呼ばれるもので、
貝細工の製造加工・卸売り店舗、
1897年(明治30) に創業。
横浜の貿易商社を模した外観は、
1936年11月に建てられことが、
棟札により確認されています。

ファサードに右から左の
物産貝細工製造卸湯浅商店」は、
一部複製ながらも建設当時の
趣きを今に伝えています。
全面がスクラッチタイル張りで、
2 階部分には半円形のファンライト
備えた 6 連の上げ下げ窓が並んでいる。

現在は6 店舗が同居しています。

住所は雪ノ下一丁目なのです。

同じ雪ノ下一丁目の"三河屋本店"、
1900年(明治33) 創業の酒店で、
現建物は1927年に建てらたもの。
出桁造りの店構えが、
若宮大路でひときわ目を引く存在。
奥行 8 間を前後に 2 分して
並行に 2 つの棟をかけ、
前方を切妻、後方を寄棟とした
珍しい屋根のかけ方になっています。

店舗内部も重厚な根太天井
正面の長大な差鴨居、
当初のものではないが板貼りの床、
伝統的な商店建築様式がみられます。
敷地奥には蔵も残されていて、
主屋からトロッコのレール
東西に約 30m 敷かれているそうで、
現在も使用されているとか…

こちら三井住友銀行鎌倉支店

実は近代遺産ではなく、
元「ポロ・ラルフローレン」で、
改装して銀行支店として
2009年2月にオープンしたもの。
ただ…
大阪倶楽部大阪ガスビルの設計で、
有名な安井建築設計事務所
内装改修を担当したとか。

日本基督教団 鎌倉雪ノ下教会
1984年11月の建築なので、
比較的新しいもの。

雪の下の地に教会が献堂されたのは、
1941年のことだったそうですが、
敗戦直前の1945年7月31日に
教会堂強制疎開の命令により自壊。
戦後再建された木造の第四会堂は、
1983年まで使用されていたようです。
こちらは若宮大路に面する
「鳩サブレー」の豊島屋本店
鳩の目が非常進入口ランプ
おそらく実現にはかなりのハードル、
非常進入口の大きさや仕様は、
建築基準法で定められていて…
その苦労が想像されます。

サブレーが二重になっているのを、
あらためて実感。



最後に鎌倉駅西口の時計台
1916年(大正5)建築の旧駅舎のもの。
"とんがり帽子の時計台"として
市民に親しまれてきたので、
保存されているのです。
関東大震災でも崩れなかったとか…

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