iza KAMAKURA vol.3 鎌倉近代化遺産~華頂宮邸


古都鎌倉…武士たちの歴史と
哀愁を感じられる都市…
近世には信仰と遊山の地として
脚光を浴びたことで、
近代には別荘が建ち並びました。

"古都鎌倉"を感じさせる八幡宮あたりから、
金沢街道沿いに向かい、
竹林の庭で知られる報国寺に至る…
さらに奥要ると"旧華頂宮邸"。

重厚な正門で迎えられますが、
低い山々に囲まれた谷戸に位置し、
木々に包み込まれれています。

まちの中心には鶴岡八幡宮、
山には切通、山裾には禅宗寺院を
はじめとする大寺院が造られた鎌倉。
塀で囲われた都会の邸宅とはことなり、
このようなロケーションを選ばれたことで、
近代に入って多くの芸術家が暮らし、
近代芸術の新たな文化を
創出するまちとなったと解説されます。

建物の形式は柱や梁などの骨組みを
外部に露出させて意匠とする
"ハーフティンバー様式"。

外壁はモルタル塗りで
1 階の一部はタイル張りとなり、
腰壁には石材が張られています。

正面右の切妻屋根の部分は、
戦後の増築されたものです。

1929(昭和 4)年竣工。
華頂宮から臣籍降下した
華頂博信侯爵の邸宅として
建てられたものです。

華頂宮家とは伏見宮家の分家。
1868年に博經親王によって創設、
知恩院門跡として得度されましたが、
明治天皇勅命で復飾。

華頂宮の称知恩院山号
華頂山」に因み賜われたもの。
当初から常住の住宅として
用いられたといわれていますが、
華頂夫妻が住まわれたのは数年のみ。

敷地内の樹木、幾何学式庭園、
華やかな暮らしを彷彿させます。
中世社寺が醸し出す雰囲気の中に、
このような空間が存在する…
鎌倉の都市を説明するとき、
「まるでモザイク画のように
 組み合わされた特別なまち」

と表現されることがあります。

内部を開け放たれた窓から…
内部公開は春秋の2回それぞれ2日、
静寂な邸宅も賑わいを見せるとか。
大理石のマントルピース

陽射しがふんだんに差し込む窓、

一般公開のときはカフェも開設され、
賑わいをみせるという…
洋館を商業的に活用する、
そう舵を切られてないからこそ、
そのままに維持されているとも…
ただ維持管理には費用がかかる。



敷地も4,500㎡とそこそこ広い
公園レベルですし、
庭園の薔薇なども含め、
植栽の手入れも素晴らしい。
ブライダル専用にしても、
なかなか繁盛するんじゃないかな。

ポーチ前の池にも噴水の設え、
なかなか"映える”スポット
溢れています。

保つにはなかなか骨がおれそう…

2階の居室は1階にくらべ、
重厚な雰囲気があるそうです。
洗面台やバスルームは
大理石や白いタイル張り…
また洋風窓の内部には和室もあり、
昭和初期当時の生活を感じさせる。

建物は3階建ですが、
春秋の一般公開時も2階までとか。
屋根裏部屋のような1間のよう。

正門から見上げると煙突…

バックヤードもなかなか
キレイに保たれていました。


「旧華頂宮邸」
主屋:木造 3 階建、洋小屋組
延べ床面積/577.79 平方メートル
屋根/銅板葺き切妻
外壁/モルタル塗り
 鎌倉市浄明寺二丁目
 (バス停浄明寺下車 報国寺の奥)

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