大津絵の伝承者たち⑧ 富岡鉄斎


《小黠大胆》
 富岡鉄斎 1920年
 東京国立近代美術館 蔵

画工とみなされるのを嫌い、
終生学者を自任した
富岡鉄斎という人。
「南画の根本は学問にあり、
 人格を研かなくては画いた
 絵は三文の価値もない」
との言葉を遺しています。

如拙「瓢鮎図」と
同系画題の小黠大胆
しょうかつだいたん
つるつるした瓢箪を捕まえる…
人生の艱難辛苦への挑戦、
人間性を大悟させるの意味。
人を猿に変えて表現するのは、
まさに大津絵の潮流



《擬土佐又平筆法
  遊戯人物図》
 富岡鉄斎 1912年

大津絵の祖 岩佐又平
師と仰いでの図。
賛には…
「絵画は私の遊戯であって
 変わっているところを
 重要視する。
 人物画の名手であった
 晋の顧愷之は、人物画の
 瞳に容易に点じないで、
「伝神写照、
 正に安堵の中に在り」
 といったが、
 大津絵の岩佐又平は、
 まことに人物画が
 すぐれているから、
 私は又平を
 わが師とするのである。」

《福神遊戯図》
 富岡鉄斎 70歳代


「大黒と外法の相撲」
「福と寿のすもうを見れば
 大方は福が寿命を
 引き倒(こか)すなり」…

《大布放賭図》
 富岡鉄斎 1919年

アイテムである俵と小槌
大きなを放り出して、
双六を楽しむ大黒と布袋

南宋の洪遵 撰の『譜双』、
日本の双六の記述を引き、
珍しい文献であると、
款記に記しています。
書物に精通した
鉄斎ならではの逸品。

《七福遊戯図》
 富岡鉄斎 60歳代

いわゆる紅一点…
輪になって弁財天
引き合い戯れる男神たち。

《寿老人像》
 富岡鉄斎 1924年

子どもが仙桃を捧げ、
寿老人は寿を祝う
縁起物「鳩杖」を点く。

《寿老図》
 富岡鉄斎 80歳代

頭上は鳥ではなく、
コウモリなのです。
西洋とは異なり中国では
幸運の象徴だとか…

瓢箪でもうひとつ…
《瓢中快適図》
「心の欲する所に
 従って年を知らず、
 逋適逍遥我が天を全うす、
 閑臥書を枕にす安楽境、
 長生何ぞ必ずしも
 神僊を羨まん」

瓢箪のなかにいるのが、
望ましい境地と…
ただ私、
閉じこもってられない
性分なのです(・ω・)v
明日どこいこ・・・

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