大津絵の伝承者たち⑦耳鳥齋


《相撲之図》

勢いよく投げる力士…
上がる軍配…
そして湧き上がる観戦!
熱気があってこそ!!
くたばれコロナウイルス!!

《絵本水や空》1780年

脱力しきった歌舞伎役者
ゆる〜〜〜い表情は
耳鳥斎という絵師の
筆によるものです。

《十夜会図》江戸時代後期
 熊本県立美術館蔵

檀家たちの背中は、
笑いをコラえているのか。
僧侶のお経はきっと、
やさしい調子なのでしょう。
戯画の先人・与謝蕪村
影響も感じられる耳鳥斎は、
商人の町ならではの
自由闊達な気風に育まれた
大坂の江戸文化人を担った人。
《別世界巻》「芸子法師の地獄」

画題は江戸中期に遡る。
三味線にされた哀れな
男を撥ではなく爪で弾く。
「鬼の三味線弾き」の意味は、
酒や音曲に惑わされやすい
男性に対する警告だとか…
気をつけねばなりません😁
鐘がわりにされたり…

大坂 京町堀で商いをする傍ら、
絵や浄瑠璃を嗜んだ耳鳥斎。
にちょうさいと読みますが、
俗名は松屋平三郎。
「世界ハ是レ即
 チ一ツノ大戯場」
と…
『絵本かつらかさね』で語り、
堅苦しい世間を喝破し
笑い飛ばした人でした。
こちらは付け替えられたり…
鳥羽絵を源泉にして
作画したとも言われるが、
耳鳥齋本人は
それを否定しているとか…
「和尚の地獄」…

中谷伸生さん※は、
こう解説されています。
「江戸絵画史上に見え隠れする
 大津絵の図様は、
 さまざまな画家たちが、
 束縛に縛られ、
 枯渇した自らの想像力を、
 生き生きとした源泉に
 還そうとしたわけで、
 そこに大津絵が
 見出されたのではなかろうか。
 平たく言えば、
 画家の想像力が枯渇したときに、
 最後に選ぶ存在、
 それが大津絵ではなかろうか。」と…
「大根役者の地獄」
大根と一緒に煮付けに…
こっちは磔にされて大根を
咥えさせられてる…
「尻道好の地獄」
楽しんどるやん( TДT)
たぶん僕は…
こんな感じになるのでしょう。
どの鬼も憎めない
表情がならんでいます。
「煙草好の地獄」
キセルにされちょる
《天狗寿老鼻頭くらべ》
 京都府所蔵 
 京都府京都文化博物館管理

天狗と寿老人が
鼻と頭の長さの競い合い。
両者とも団扇を高々と掲げ、
「オレの勝ち」と自画自賛
仙厓さんにも通ずる画風…

※このブロクは以下の論文を参考にしました。
「耳鳥齋による戯画の源泉」中谷伸生
關西大學文學論集 67巻3号 2017年

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