大学をあるく② 関西大学 千里山C 簡文館


関西大学 千里山キャンパスに立つ、
円形型の建物。
円いという形態は

ある意味関係したカタチ、
変更とか増築をすることは
なかなか難しいものでもあります。

建物の名前は「簡文館」、
もとは図書館として建設。
広島の世界平和記念聖堂
村野藤吾さんの設計です。

「用途が変わるとそれに応じて、
 必然的に改造を必要とするが、
 それが難しい仕事になり、
 無理を伴うことにもなる。
 しかし一方、
 円い建物は目立ちやすく
 それ自体で
 象徴性や記念性を持ちやすい。」

もとはもっと“ふんわり”と
高台に浮いていたような
感じだったそうです。

大規模な総合図書館の新設で、
千里山図書館は
1985年に考古学資料館、
1992年から
関西大学博物館」に
役目を変えていました。

村野はこの大学の建築について、
こう述べていたそうです。

「マックスとして
 学生の心理に影響するものは、
 私なりに考えれば、
 ソフトな壁の取り扱い」であり、

「光線を反射するような
 面の取り方をしない
 ということです。」

わざわざ粗面の
セメントレンガなどを、
校舎の壁面に使っています。
時にはタイルの裏面の荒さを好んで、
わざと裏側を貼っていたりするのです。



廊下に使われている腰下壁も、
飽きのこないタイル面の
組み合わせが実に絶妙です。

丸みの感じがヨス。



3階にはいると円形を感じます。

関西大学には網干善教さんという
考古学者がおられたこともあって、
大型埴輪がどーんと置かれていました。

円形ということで展示順路が
取りにくいのかしれませんが…
ライティングのほのかな光が
落ち着きを添えていました。

青、緑、茶色の「塩焼きタイル」?
によるモザイク装飾が彩りを添えます。
「塩焼きタイル」は、
まさしく釉薬に
食塩が使われています。
きめの粗いガラス状被膜が表面に、
塩焼きのことは別名
「食塩釉」とも呼ばれます。

円形は建物のなかの階段にも…

建物のエッジを
如何にソフトに見せるか、
村野さんのこだわりが
ここかしこにありました。


「関西大学 簡文館」

→関西大学博物館
建築年: 1955年(昭和30)
設計 : 村野藤吾/村野・森建築事務所 
構造 : 鉄筋鉄骨コンクリート造3階建
[国 有形登録文化財]

関西大学千里山Cのブログは、
以下の論文を参考にしました。
関西大学における村野藤吾の建築とその後
 川道 麟太郎『関西大学博物館紀要 10』2004年

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