カチカチ山を四字熟語で、、、



「カチカチ山」
 という昔話がありますね。。。
 良く知られたお話です。。。




ずる賢いのはタヌキなのか??ウサギなのか??
 意見の分かれるところですが、、、、

タヌキが化かして、、
ウサギがお爺さんとお婆さんの仇討ち。。



ところで、、

『斜陽』『人間失格』という作品を残した太宰 治
 戦時中統制下の中で生まれた作品

『お伽草紙』という短編小説集に
 この「カチカチ山」も取り上げられています。。。


「よしんば狸が、不埒(ふらち)な
 婆汁(ばばじる)などを試みたとしても、

 なぜ
正々堂々 と名乗りを挙げて彼に
 膺懲(ようちょう)の一太刀を加へなかつたか。
 兎 が非力であるから、などはこの場合、弁解にならない。
 仇討ちは須(すべから)く 正々堂々 たるべきである。


「神は正義に味方する。
かなはぬまでも、天誅!
 
と一声叫んで真 正面から をどりかかつて行くべきである。
 あまりにも腕前の差がひどかつたならば、
 その時には
臥薪嘗胆
 鞍馬山にでもはひつて
一心に剣術の修行をする事だ。」


「狸の働き振りを見るに、一心不乱 どころか、
 ほとんど半狂乱に近いあさましい有様である。
 ううむ、ううむ、と大袈裟に捻りながら、
 めちや苦茶に鎌を振りまは して、時々、あいたたたた、
 などと聞えよがしの悲鳴を挙げ、 ただもう自分がこのやうに
 苦心惨憺 してゐるといふところを
 兎に見てもらひたげの様子で縦横無尽 荒れ狂ふ。」


「狸の火傷にれいの唐辛子《たうがらし》を
    ねつたものをこつてりと塗る。
 狸はたちまち
七転八倒 して・・・・」


・・・・・・・・てな感じです。
うーん漢字がいっぱい。。

やはり太宰だとこうなるのか。。

と思われるかも知れませんが、、
   
四字熟語もいっぱい出て来ます。


赤い太字が四字熟語です。。。
 □ 正々堂々(せいせいどうどう)とは。。。
  態度や方法が正しくて立派なさま。
  陣営などの勢いが盛んなさま。

 □ 臥薪嘗胆(がしんしょうたん)とは。。。
  
復讐のためにあらゆる苦労や悲しみに耐え忍ぶこと。
  成功を期待して苦労に耐えること。


 □ 一心不乱(いっしんふらん)とは。。。
  心をひとつに集中し、他の事のために心を乱されない。
  わき目もふらない。

 苦心惨憺(くしんさんたん)とは。。。
  心を砕いて苦労を重ね、困りながらも、
       あれこれと工夫を凝らすこと。

 縦横無尽 (じゅうおうむじん)とは。。。
  自由自在でとらわれのないさま。
  勝手気ままにふるまうようす。

 七転八倒(しちてんばっとう)とは。。。
  何度も何度も倒れるように、
  苦痛のために激しく苦しみ悶えるさま。

     四字熟語データバンクより。。。



日本人の誰もが知ってる
民話・御伽話の中に
 込められたものへの
太宰 独特の
 ユーモア・ウィット。。。

難しい言い回しも
一流の
 パロディなんだと思います。






太宰 治 のようにホンマの 含蓄野郎 になるのは
 苦心惨憺 な道が控えて居ると思うけれど。。


この作品が書かれたのは文芸作品を戦時下でも
出していこうとした
太宰の心意気が感じられます。

おとぎ話だったら
 検閲にはかからないってことです。

実は
太宰 の代表作品には
 
四字熟語はあまり使われていません。


『お伽草紙』「カチカチ山」の冒頭には、

「カチカチ山の物語に於ける兎は少女、
 さうしてあの惨めな敗北を喫する狸は、
 その兎の少女を恋してゐる醜男(ぶおとこ)。
 これはもう疑ひを容れぬ
 儼然(げんぜん)たる事実のやうに私には思はれる。」


 とあります。。。
「善」のウサギが「悪」のタヌキを懲らしめるのではく、
   タヌキの失恋物語に。。。とは

四字熟語とは含蓄のある字の並び。。。
 
太宰 はそれさえもパロったんですね。。

やはり天才と言われる人はスゲエなあと。。。。。



福娘童話集 きょうの日本昔話
  おなじみの「カチカチ山」
     このサイトで。。


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