百舌鳥古墳群をあるく⑦ 百舌鳥耳原って


仁徳天皇陵が世界遺産に…
ユネスコの諮問機関が
登録勧告されるとのこと、
地元の悲願達成へ
あと一歩というところです。

宮内庁の表札には
百舌鳥耳原中陵
と記されています。
で…百舌鳥耳原って?
『日本書紀』には、
こんな記述があります。

「即位67年冬10月5日。
 河内の石津原に天皇は行き、
 陵地を定めました。
 18日に陵を築き始めました。
 この日に鹿が、たちまち
 野の中から現れて、走って、
 役民の中に入って倒れて
 死んでしまいました。
 その死んでしまったことを
 不思議に思って、
 その鹿の傷を調べてみました。
 百舌鳥が耳から飛び出して
 飛んで行きました。
 耳の中を見ると、
 ことごとく食い割って
 肉が剥げていました。
 それでその場所を名付けて、
 百舌鳥耳原といいます。」

ちなみに・・・像の制作者
岩田千虎(かずとら)さんは、
写実的な動物彫刻で有名とか。

鹿が工事のジャマをした?
モズが鹿を食べてる??
なんかオカルト的な情景
浮かんできてしまいます。

ただ実際にモズには、
そんな習慣はないそうで、
故事の持つ意味は
御陵を不可侵にせよ
という意に
あったかに思います。

鹿と仁徳天皇とには、
こんな話もあります。

「仁徳天皇は鹿の鳴声を
 愛していましたが、
 あるときから
 鹿の声がぱったりと
 聞こえなくなりました。

 ほどなくして、
 佐伯部という人が
 天皇に鹿を献上しましたが、
 それは天皇が鳴き声を
 聴くのを楽しみにしていた
 鹿だったそうです。

 天皇はこれに心を痛められ、
 佐伯部を安芸の地に左遷…」

万葉集にはこんな歌が…
「夕されば 小倉の山に 
 臥す鹿の 今夜は鳴かず
 い寝にけらしも」

鹿の死は政変」を
意味するとも言われています。

で…モズは?
大阪府鳥に指定されたのは
1965年のことです。
百舌鳥」と書くのは、
いろいろな鳴きマネ
できることから…
モズといえば…
もずの早贄
はやにえ と読みます。
モズは足の力は弱く
獲物を掴んで食べれない、
小枝などにや突き刺しておき、
エサを確保しているとも。

ただ実際のところは、
他の鳥に食べられたり、
放置されてることが
多いんだとか。
その生態が何を意味するか?
あまり良くわかっていません。

「なんとかして子孫を
 未来に残したいという、
 オスの努力と研鑽の
 積み重ねによって
 生まれた名前だったと
 いうこと。
 モズのオスは、
 ただ楽しくて、
 さまざまな鳥のまねを
 していたわけでは
 なかった
」※
というのが真相のようです。

大阪府のゆるキャラに
もずやん」ってのが
おります。

虎次郎によく似てるとも?
この「もずやん」…
元は「モッピー」という名が
あったのですが…
ゆるキャラブーム直前に、
同名のキャラがUSJで登場し、
改名を迫られてしまいました。

その後も紆余曲折を経て、
なんとか生き延びています。
こんなところにも共通点(笑)


※このブログは、
『身近な鳥のすごい事典』を参考にしました。
 細川博昭 著 イースト・プレス 2018年

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