2016年6月28日火曜日

ライトのワーク山邑邸vol.3 日本建築の刺激


山邑邸の完成を実のところ

ライトは見ていません。
関東大震災の前年に急遽帰国、
帝国ホテルさえも竣工には
立ち会っていません。

2階には
畳敷きの和風の部屋がありますが、
施主の希望を容れての
実施設計で、
決定されたことだそうです。
現時点ではライトの現設計に
和風の部屋が意図されていたかは、
資料的裏付けがないそうです。

2階から3階にあがると、
連続する飾り金物が
影を落とす長い廊下…

あくまで
靴履の設定でしょうから、
当初からの和室の設定が、
どうだったかの疑問を、
改めて感ぜさせます。

当たり前のことながら、
和室は当然ながら畳敷き。
実は来日以前からライトは、
統一された寸法による
平面計画のユニット化
試みていました。

帰国後はほぼ全ての図面に
寸法のグリッド(方眼)を
描いていたようで、
畳割りによる合理的な空間を
実体験したライトが、
かなてからの自分の手法に、
さらに確信を深めたと言われます。

様々なスペースにも
グリッド取りにいろんな
工夫が見られます。

ステンドグラスに替えて、
窓には日本の欄間を思わせる
幾何学模様のはめ込みも、
グリッドへの意識が
強く感じられました。

玄関は狭い…
茶室の躙口
(にじりぐち)
ヒントにしたとか。

2階へのアプローチにも、
床の間のような設え。

和室前の家族室も、
天井は低く抑えられているが、
明かり取りの窓の配置の巧み。



いろいろな収納スペース
そもそも欧米では、
部屋は壁で間仕切った空間、
そこに家具が運び込まれて
生活を始めようとするもの。



デットスペースの物入れも、
押入れをヒントにしたのでしょう。

家具なしでも始められる
和室の設えにライトは
刺激を受けたのだと、
そう感じたいと思いました。

真壁づくりの柱や
梁のストラクチュアの露出が、
そのままインテリアとして
室内空間の生気を与えています。

長押
(なげし)の美的効果に関心が
深かったのでしょう…
多くの日本の影響が
散りばめられていました。

和室にも上部には、
高窓が連続していますが、
このツクリは建物に共通したものです。

ただここでの高窓は今は光のみ、
風は通り道ではないのです。
なぜなら、
ライトは日本の多雨湿潤
知らなかったからようで、
一部に腐敗が進んだそうです。

日本建築への影響を遺した
ライトと評されていますが…

実はライトは、
終生こう語っていたそうです。
「わたしの作品にみられる
 日本の建築や美術の影響を、
 すべて否定する。」
と。

欧米的な発想を超えた設計指針が
感ぜられる故に親近感を感じる
ライトのワークたち。
おそらく庶民の間に溢れる
日本の文化への敬意が
払われているのでしょう。



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