西宮をあるく⑤ 辰馬さんちの洋館

「白鹿」は灘五郷の一つ、
白鹿記念酒造博物館に
ほどちかいところにある
辰馬喜十郎(たつうま・きじゅうろう)さんの自邸。
神戸にあった英国領事館
模して造られたと伝わるものです。
初期の西洋館は外国人が住むために
外国人が設計して建てられたものでしたが、
ここは日本人が建て、
そして日本人が住んだ
最古の洋風住宅なのです。
二面にベランダをめぐらせた
コロニアルスタイルですが…
1階はベランダに直接出入りできる
「フランス窓」ではなく腰高窓
1階は御影石の列柱であるのに対して、
2階は木製の柱なのもオモシロイ。
辰馬家は酒造家にとどまらず、
海運業、金融業…
そして進学校として有名な
甲陽学院中・高校の創設もだとか。
辰馬喜十郎さんは辰馬家の分家、
南辰馬家初代当主であったようで、
新しい文化を取り入れる
意欲的な人だったそうです。
玄関など開口はアーチ型で、
他の面は角型です。
寄棟桟瓦葺屋根の四隅、
鬼瓦には和の建築で見かける紋入り
」の文字が入っているとのこと。
ここも洋館は和館と繋がっていて、
煉瓦の煙突は浴室のものです。
裏手にまわって煉瓦積みを間近にみると、
みごとという他ない「イギリス積み」。

旧辰馬喜十郎住宅は、その酒蔵・店とともに、
市と県の指定文化財となったのですが、
阪神・淡路大震災で、店と酒蔵は全壊。
住宅のみが現存して震災以来
内部非公開になっています。
「旧辰馬喜十郎邸」
建築年:1889年(明治22)
構造 :木造2階建
設計 :山下 某
所在地:兵庫県西宮市浜町8-5
【近代化産業遺産】
【県指定文化財・市指定文化財】

このブログの人気の投稿

万博のユニフォーム

村野藤吾のファサード⑫読売会館・そごう東京店

みやこの国宝への旅⑦ 三十三間堂 二十八部衆像