丹下健三のワーク 東京カテドラル聖マリア大聖堂へ
「私たちはこの場合、
空間の型を伝統的な
カテドラル建築に見られる
空間の型から学んだ」
丹下健三氏の設計で1964年に建設、
東京カテドラル聖マリア大聖堂。
前から見たいと思っていたのですが、
東京椿山荘の目の前に立っていました!
カテドラルとはカテドラ、
司教座のある教会をさす言葉で、
東京大司教が公に儀式を司式し、
教え指導する教会なのだとか。
文京区目白通り沿い…
早稲田大学、御茶ノ水女子大や
日本女子大、筑波大付属中高、
東京音大付属高など
"文教"地区まっただなか。
RC造地下1階地上3階建、
屋根はHPシェル構造で
壁から屋根まで一体となっています。
HPシェルが8枚立てかけられ、
真上から見ると、
十字型のトップライトに。
内部空間の一番高いところは、
高さ40m近くにもなるとか…
外壁・屋根はステンレス鋼板仕上げ。
HPシェルとは、
Hyperbolic Paraboloid
双曲放物面シェル構造とか…
2本のねじれ2直線を定平面に
平行な直線群で結んで得た曲面、
ある面で切断すれば放物線が、
それに直行する面で切断すれば、
双曲線が現れる曲面…
解説の受け売りですが。
要するに直線でできているので、
施工もしやすいとの利点あり。
『新建築 1965年5月号』によると…
ヨーロッパの教会は
コミュニティの中心で、
周囲より際立って高く
垂直の表象を持つ、
それでいて周辺との
調和が取れているとか。
HPシェルの組み合わせで、
カトリックの精神を表し、
ふくらみのある勾配で、
伝統ある日本の勾配屋根の
家並みとの調和をもたらす。とか…
ヨーロッパの都市の教会では、
道路から広場そして教会へと
アプローチで視界が展開…
精神を高揚させ教会へと導く。
視野いっぱいに聖堂壁面に接し、
左手に鐘塔をみて聖堂前の広場へ…
ただ竣工当時の芝生広場は駐車場に、
当初から芝生広場を1/3ほども
削られ司祭の家や関口会館が立つ。
大聖堂前は7段分階段があり、
緩衝ゾーンとも集会エリアとも。
正面のガラススリットをバックに
ステージとして使われているとか。
ちなみにカトリック信者でない
カップルでも結婚式ができるとか。
ただ条件に
「お二人が原則として初婚」…涙
そしてカトリック教会の
結婚講座を受講が必要とか。
大聖堂と対峙してあるのが、
関口教会の"ルルドの洞窟"、
設計者はチェコ出身の建築家
ヤン・レツル(Jan Letzel)という人。
レツルは現原爆ドームとして
知られる旧広島県物産陳列館をはじめ、
明治末から大正期に日本国内において、
ユーゲントシュティールという
モダンな建築スタイル、
それらを和風を取り入れた
独自の作風で活躍した建築家とか…
"ルルドの洞窟"とは、
1858年フランスの
南西部の町・ルルドという
小さな山村の洞窟で聖母マリアが
一人の少女の前に現れた場所。
これに因んでカトリック教会には、
模したものが多く作られているのです。
レツルの設計への手がかりは、
元の聖堂の改修を担ったから。
元聖堂は1945年の空襲で焼失…
"ルルドの洞窟"は一世紀を超えてなお、
信仰の対象として守られています。
ジョセフィーヌの鐘
1876年(明治9)フランスで鋳造、
姉妹の鐘る「ルイーズ」とともに、
築地教会の鐘楼に設置されたもの。
その後1920年に司教座が関口に
移されたの契機に移されたもの。
戦時中の金属供出の候補に…
ただ本近代法の父と呼ばれる
ボアソナード博士の寄贈であったため、
明治憲法記念会からストップ!
供出を免れたとの逸話が残ります。
空襲を受け鐘にひびが入って、
ひどい音になっていたようですが、
1957年に信者が協力して改鋳、
ルルド脇鐘楼に吊り下げられています。
キリストと弟子達、
背面にはマリアと天使の姿…
寄贈のボアソナード夫妻の名や、
1957年改鋳が刻されています。
付属の幼稚園の壁のモザイク画
石原新三さんが手がけたものとか。
3枚のタイトルは《訪問》。
小さな路地にひっそりと。
聖母マリアが光輝いていました。