華麗なるジャポニズム 日本のポピュラーイメージ

西洋の芸術家たちが自然への強い愛着を持つ、
日本美術の意匠たちはアール・ヌーヴォーにて
開花しているように思える。
オットー・エックマン
あやめ
1895年 多色摺木版

実はこのアール・ヌーヴォーというコトバ、
1895年開店のパリのギャラリーの名に由来する。
アール・ヌーヴォーの源泉は、
ゴシック・リヴァイバル、ケルト紋章、
ロココ装飾、アラベスク紋様などであるが、
生活が芸術であり、芸術が生活に溶け込んでいる
といったウィリアム・モリスの理想に、
日本美術の定番を支えるイメージに、
意識的も無意識的にも合体したのだと感じる。
ジスベール・コンバズ
〈四大元素〉より
《空気》《水》《水》《火》
1898年

20世紀にはいると世界的なポストカードの
大流行がはじまったといわれる。
美術家も、そしてそれを売る出版社らも、
消費者の好みを先取りし競い合ってた。
新しいデザインを手繰るうちに
日本の意匠にたどりついたのであろうか。
波しぶきはまさに浮世絵の代表作を思わせ、
山は富士を見立てたようにも見える。
コンバスは美術家でもあり、
ベルギーの東洋美術研究家としても知られていた。
浮世絵は至極当然で複数の異なる視点にて、
描かれた日本的描写はアール・ヌーヴォーと、
今でいうコラボを達成させている。
前景と遠景との関係は西洋にはなかったとも…
一雲斎秀氏(いちうんさいひでうじ)
蛸に貝図鐔(たこにかいずつば)
19世紀

銀と銅の合金「四分一(しぶんいち)」を地に、
金・銀・赤銅などを薄肉彫にて、
据文象嵌(すえもんぞうがん)」と呼ばれる
討ち込む金銀を高肉にして
地金の表面より凸出させる技法で、
波に蛸と貝があらわされている。
この技法は極めて製造コストが高くつくとか。
蛸の腕が裏につながっていてオモシロイ。
石黒政義
魚介図鐔
18世紀末ー19世紀前半

こちらは鯛・河豚・海老、
そして巻き貝と二枚貝が施されている。
プシュロン社
インクスタンド》1876年

日光東照宮陽明門を
封じ閉じ込めとしたのか?
重ねられた杯、亀、狛犬など...
重ねられた小杯の中段には、
富士を望む風景と釣人の姿。
葛飾北斎
冨嶽三十六景 武州千住
1830年頃

水門越しに望む富士と
それに向かって竿をのばす釣人の姿。
1867年のパリ万博後に結成された
「ジャングラールの会」では、
日本の衣服をまとって、
日本料理や日本酒をたしなみ、
日本文化と美術を論じ合ったとか。

「ジャポニズム」という言葉が
最初に用いられたのはこの頃からという。

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