江戸のデリバリー① 振売りが大活躍


守貞漫稿』より 納⾖売り

出前?デリバリー??
時勢柄もあいまって、
需要の高まる Uber Eats
アメリカ合衆国の企業
ウーバー・テクノロジーズ運営の
ハイヤーの配車サービスを
応用したものとか。
本図は喜田川守貞が著した
近世風俗書『守貞漫稿』
みえる「納豆の振売り」。
「⼤⾖を煮て、室に⼀夜おき、
 これを売る。昔は冬のみ、
 近年夏もこれを売り巡る。
 汁に煮あるひは醤油をかけて
 これを⾷す。
 京坂には⾃製するのみ。」と…

納豆BAR小金庵さんHPより

虎次郎は納豆大好き
関西人ですが…
上方では江戸期は
自家製だったということ。
戦後間もないころは、
浅草あたりでも納豆売りが、
朝を告げていたそうです。

《江⼾年中⾵俗之絵》魚屋の振り売り
 1840年(天保11)ごろ

多くの人口を抱えつつあった
江戸には長屋住まいが増え、
労働力の担い手である男子は、
お手軽に食事を取りたい
それは女衆も気持ちは同じ、
江戸の人たちは
大いに利用したそうです。

《成島司直職⼈歌合》⾖腐屋
 成島司直 画 1778年(安永7)

⾖腐屋は冷や奴には“奴切り”
味噌汁だと“賽の目切り”
客のニーズに合わせて
切ってくれたそうで、
⼀⽇三回ほぼ同じ時間に
売り歩いたそうです。

「むきみ売り」

シジミ、アサリ、蛤などの
⾙類を売る棒⼿振り商⼈。
貝殻を外して剥き身で…

《成島司直職⼈歌合》魚屋


『東都歳事記』初夏交加図
 斎藤⽉岑 1838年頃

初鰹の振売り
菖蒲を持つ男
威勢の良い声に
思わず振り向きます。
⻑屋でイワシやサンマなどの
焼き⿂が⾷卓に上がるのは、
七輪が登場した江⼾後期とか…

『⽷廼時⾬越路⼀諷』
「おでん燗酒売り」
「おでん 燗(かん)酒」と
⾏灯に書かれる。

こちらの客は酒の猪⼝を持ち、
左⼿には酒の肴…
串に刺した“蒟蒻”を頬張る。

『守貞漫稿』の⽣業の項には、
「菜屋(煮売り屋)」があり、
焼き⾖腐・蒟蒻・慈姑・⽜蒡など
煮しめが⼤丼鉢に盛って店先に
並べて売られていたとか。…

《成島司直職⼈歌合》茄子売

振り売りは町の隅々まで⼊り込み
何でも客の注⽂に応じたとか…
時代が巡ってイマ!
店それぞれの出前が、
Webとスマホが駆使され、
作り手と運び手とが
それぞれの得意なトコロで
勝負する時代。
誠に持ってオタクには
たいへん有り難い浮世です。

《成島司直職⼈歌合》芋売

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