江戸のデリバリー⑪ 紙を買う人…そして売る人


『児訓影絵喩』より
 鳥居清長 画 1798年

江戸時代 紙は貴重なもの、
使われた紙はすべて回収され、
汚れ具合によって選り分け、
再生されました。
家持ちの主人の前で、
桿秤(さおばかり)
手にする紙屑屋の姿。
判じ絵として影絵が
添えられていて、
「家もちの かげゑ」

こちらの画には
「美人の かげゑ
 たちまち がいこつに
 うつる」
とあります。

《今様職人尽歌合》1825年

古紙の回収から再生までは、
回収業者古紙問屋
漉き返し業者と、
分業化が図られていました。

『宝船桂帆柱』より紙漉・筆師

天保年間(1830~1843)の
幕府が行った財政改革では、
紙屑を集める業者が結託して
価格を吊り上げていて不埒、
「紙屑買〆罪」を設けられたとか。

《彩画職人部類》より紙漉

その買い取り価格や、
漉き返しの手間賃まで
細かく定められたそうです。

《世渡風俗図会》

 地紙売

扇または傘にはる紙を
地紙と言ったそうです。
滝沢馬琴『燕石雑志』
などによると…
地紙形の箱を肩にかつぎ、
買手と値段が折り合うと
その場で折って売った。
放蕩道楽息子が多く、
派手な服装をして
役者の声色や物まねをして
売り歩いたという。

こちら《世渡風俗図会》
団扇売

《職人尽倭画》こちらは扇屋さん

扇ひとつが作られるのも、
たくさんの工程を、
多くの人が分業で、
携わってきました。
江戸の労働力不足は、
その後も
ずっと続いていますね。

《世渡風俗図会》読売
いまの新聞のこと。

『守貞謾稿』暦売

紙の消費は
大きくなるばかり…

《職人尽絵貼りまぜ屏風》
こちら鞣屋さん…
圧搾というもの。

《職人尽絵詞》より

こちらは大掛かりですね。
「叩解」という作業でして、
不純物を洗い流す
「紙だし」という作業。
漉いても漉いても
紙がほしいってことです。

『守貞謾稿』紙屑買
瀬戸物焼接とともに…

井戸の茶碗という古典落語、
道楽の末に勘当の若旦那…
「白紙は白紙~、
 カラスはカラス~、
 せんこう紙はせんこう紙~、
 陳皮は陳皮~、毛は毛~っと」

こちら江戸と京阪の
紙屑買いが背負った籠…
『守貞謾稿』にはこんな
東西の違いが描かれます。

若旦那の選り分け…
すぐに飽きてしまい、
恋文を見つけ妄想へ
今度は義太夫の稽古本、
口三味線に芝居の真似事
雇い主から散々叱られ
「まったく、アンタは
 人間の屑ですね」
と。
若旦那…「屑? 屑なら今、
選り分けてるところです」

お後がよろしいようで😁

関西での
古紙回収のパイオニア?
皆黒商店さん、
リサイクルとかとにかく
なんでもヤルらしい・・・
知らんけど(爆笑)

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