蟇股彫刻を往く③ 獏〜北野天満宮 本殿前拝
「獏に花」
長い鼻を持った原始的な
奇てい類でマレー地方と
中・南米の草食動物ですが、
日本の文様は空想獣で
「夢を食う動物」とされています。
《南天獏蒔絵枕》江戸時代
東京国立博物館 蔵
「蒔絵枕や鏡の裏に獏を配したのは、
悪夢を食うところから相応しい
文様として珍重され、
南天に獏を配した鏡の柄紋も、
南天は難を転ずるという音に
通ずるために
端祥文として喜ばれた。」
「獏に唐松」
『和漢三才図会』 には、
「象の鼻、犀の目、
牛の尾、虎の足」を持ち、
鉄を食べるとある。
悪夢を食べ、
良夢に変える事でも有名。
《鳥獣人物戯画》にも
獏が登場します。
乙巻の最後を飾ります…
三光門の「木鼻」にも獏。
木鼻とは「木の先端」という意味の
「木端(きばな)」が転じて…
水平材が柱から突き出した部分に
施された彫刻などの装飾のことです。
本来は切って捨ててしまう部材…
構造的にはいかなる形状にしようとも
自由で棟梁の腕の振るいどころです。
動物園にもバクがいますね…
実在のバクはリンゴやバナナ、
ニンジンやサツマイモ、
カシやネズミモチなどの
枝葉を食べるそうです。