蟇股彫刻を往く② 竹に虎〜北野天満宮 本殿前拝

虎の蟇股の傑作がある北野天満宮、
｢梅に鶯 紅葉に鹿
牡丹に唐獅子 竹に虎｣のペア。
本殿前拝の蟇股は虎以外は、

霊獣たちですが、

虎も当時は想像の獣でした。

「北野天満宮社報133号」
　　にこうあります。
「上に雲、下に竹の葉の一部、
　それに虎の尾が不自然なく
　輪郭にかかっているが、
　さすがに傑作の一つである。」と。

「竹に虎」は三光門にもいます。
猛獣である虎は、実は絶滅危惧種…
そもそも虎は、象には勝てません。
群なす象は、歯が立たないのです。
逃げこむ処が竹薮の中…
巨体は竹薮に入られず、
そもそも竹薮に入ると、
象牙にヒビが入ります。

中務卿の皇子の詠に、
“誰れか今 竹の林に身を捨てん、
 飢えたる虎は ある世なりと“　
とあります。

《武者絵 加藤清正 虎退治の図》
　楊洲周延 画
　名古屋市秀吉清正記念館 蔵

『常山紀談』という
江戸中期の逸話集には…
「一疋の虎、生い茂りたる萱原を
　かきわけ清正を目がけて来る。
　清正、大きな岩の上に在りて
　鉄砲を持ち狙わるるに、
　其の間 30間許り、虎、
　清正を睨みて立ち止る、
　人々鉄砲を揃えて打たうとすを、
　打たせず自ら打コロそうとすのを、
　虎 間近く猛り来たり、
　口を開いて飛び懸る処を、
　喉に打込めば倒れて
　起上がろうとしたが、
　痛手にて死しぬ」

北野天満宮は蟇股彫刻の宝箱…
あらためてご案内します。