サッポロ歩記5 北海道知事公館


北海道知事公館は、
約5.6haの広大な敷地に建つ
ハーフティンバーの建物…
もとは三井合名会社の別邸で、
1936年(昭和11)の建築です。

敷地一帯は1875年(明治8年)、
開拓大判官の松本十郎氏
当時の酒田県の旧鶴岡藩士族
156名を札幌に招へいし、
荒野の開墾にし桑園を経営した地で、
北側にかけては地名"桑園"が残るとか。

1890年代になって桑園は分譲、
知事公館の敷地に、
開拓使の森源三氏が養蚕に従事し、
ここに邸宅を設けたのがルーツ。

1915年(大正4年)に敷地と邸宅を
三井合名会社が購入して、
三井別邸として来客応接に
使用していたようですが、
1936年(昭和11)12月に、
別邸隣に新館を建設し
"三井別邸新館"に…
戦後米軍接収を経て、
1952年に札幌市の移管、
1953年に道の所有となって、
知事公館として再スタート

森源三氏邸宅の三井別邸旧館は、
現在は残っていないそうです。

流政之さん作の彫刻《サキモリ》

《サキモリ》は古代北九州の
守備にあたった兵士の"防人"。
秋田市立千秋美術館
香川県詫間町粟島
同名のものが所蔵されています。

こちらは北海道出身である安田侃作
意心帰 》という作品。
"いしんき"と読むとか。

芝の緑とあいまって静かながらも
凛とした空気を醸し出す。
なんと重さは約14トンもあるとか…

こちら1階の食堂、
上皇陛下の2011年来礼の際、
昼食をとられた部屋。

シャンデリアの笠は
白樺の皮を加工したもので、
クローバー金属細工がみえる。

安田侃作の《妙華》…
札幌駅構内の西コンコース
中央に置かれているものと同名。

食堂手前には控室があり、
こちらも含め隣接の
道立近代美術館コレクションが、
その壁を飾っていました。



応接室は今でも知事の会見に、
使われている部屋なので、
知事の予定があれば見学は
一時ストップされるそうです。
庭が楽しめるように広い二重窓
設えていました。

応接セットはカラマツの間伐材
北見市留辺蘂町で造られたもの。

こんなランプがありました。



シャンデリアを吊り降す階段は、
結婚式の前撮りにも人気とか…







2階の応接間は、
入口正面に大きく張り出した
出窓の位置に当たる。
三角屋根を活かした背の高い天井、
広く光を採り入れる出窓が
シックな空間を作り上げています。
天井板を貼らずに、
合掌の梁材をあらわにした
"化粧小屋組"という構造。

当時の堂垣内知事が
昭和天皇に拝謁した部屋でもあり、
暖炉を日章旗と北海道旗が囲む。



赤れんが庁舎の模型もありました。

大会議室の手前には控室

大会議室には、
歴代知事の写真が掲げられていました。




事務官用の椅子には荷物台。

"女官" ”内舎人"のランプがオモシロイ。

寝室には昭和天皇が座した椅子、
昭和天皇と香淳皇后が滞在時に、
おやすみなった部屋で、
カーテンと壁紙が西陣織




暖炉の上には森源三夫妻の肖像写真
開拓使であった森源三氏は、
札幌農学校の第二代校長も務めた人。




北海道知事公館の行き方
 市営地下鉄:東西線「西18丁目駅」
 4番出口より徒歩5分
 札幌市中央区北1条西16丁目
 12月1日〜4月28日は冬期閉園
 土日祝は閉館だが公務のため臨時閉園有

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