池田をあるく② 池田実業銀行 本店

明治維新後の「池田」は公共機関の設置、
さらに現在の阪急電車箕面線である
箕面有馬電気軌道が敷かれるなど
住宅開発が進み、
能勢・豊能郡の行政経済の中心地として
その役割を担っていました。
池田で最古の鉄筋コンクリート建造物が、
もと「池田実業銀行 本店」です。
落語『池田の猪買い』でも知られるように、
大坂の街中とくらべてグッと寒さが堪える地。
虎次郎が訪れたときも雪がしっかりと降って
落語みゅーじあむ」で暖をとりつつ、
仁鶴さんのをDVDで観させてもらいました。

おたなKAIWAI」マンガ「池田の猪買い」より


池田最古の鉄筋コンクリ建に戻ります…
今は「いけだピアまるセンター」に。
「ピア」は近くに池田伝承の
唐船ヶ淵という船着場があることから、
英語で桟橋や船着場を意味する「ピア pier」。
文化や情報が集う場所になるように願って。
中小企業や起業家の支援拠点として設立。
「まる」は開設が西暦2000年にもちなむ。

鉄筋コンクリート造2階建の
どっしりした面構え、
基底部が石張風に仕上げられており、
縦長上げ下げ窓間の狭い壁面には
褐色タイルが貼られて、
頂部は「アーキトレーブ風
につくられています。

銀行らしい重厚さに近代的感覚が融合したよう、
設計は鉄道院出身で大阪で活躍したと伝わる
小笠原鈅(ますみ)さんが手がけられたもの。
小笠原鈅さんはのちの小笠原祥光で、
住友の技師を経て小笠原建築事務所を開設、

原田産業大阪本社ビルは彼の設計です。
池田実業銀行は1912年(明治45)に創立。
清瀧徳兵衛氏が初代頭取に就任しています。
その後、清瀧幸次郎氏が頭取に就任、
近隣の銀行を吸収しながら
勢力を拡大していたとか。
戦時中の大蔵省の勧告によって、
1945年(昭和20)7月に住友銀行と合併となり、
30年余りの歴史に幕を閉じています。

「池田実業銀行 本店」
→いけだぴあまるせんたー
建築年:1925年(大正14)
設計 :小笠原鈅
構造 :鉄筋コンクリート造2階建
所在地:大阪府池田市新町2-14
【国登録有形文化財】

※アーキトレーブとは?
建築用語。ギリシア、ローマ時代、およびルネサンスなどの
古典様式を受継ぐ建築において、
柱とフリーズの間に水平に架した梁材のこと。
エピステュリオンともいう。
エンタブラチュアの一部をなし、柱と柱の間をつなぎ、
屋根を支えるなど、建築物の上層部を構成する重要な部分。
 『ブリタニカ国際大百科事典』より

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