桜の似合う今津六角堂
甲子園から西にほどなく往くと、
桜色の洋館があります。
正面に六角形に見える
バルコニーが配されいて、
今津六角堂と親しまれています。
正面中央に突き出した張り出しは、
正確には八角形の半裁の平面形。
1階は吹き放ちの玄関ポーチ、
丸面の花崗岩段石により、
張出しと同じ形で地面より
3段高く造られています。
張出しを支えているのは、
6本の繰形の飾り丸柱。
2階まで延びていて…
軒先と中間部に主屋とに
同じ蛇腹を廻しています。
柱間のすべてに井桁に組んだ
格子の中にX形格子が入る腰壁、
ガラス引違窓を備えていて、
和洋折衷の意匠となっています。
棟の頂部には木製の尖頭…
シンボル性が高められいますが、
方位飾りは保護を兼ねていて、
改修時に加えられたものとか。
"今津"という土地は、
江戸期から学問の村だったそうで、
1755年(宝暦5)に飯田桂山が、
海辺に「大観楼」という学舎を建て、
学者を招き教育を行っていました。
学制公布の翌年1873年には、
今津村、津門村が連合し
常源寺に今津小学校を創立。
1882年に教室の狭小により、
洋風建築の小学校校舎を建設。
建設費約8,000円のうち
5,200円が地元有志の寄付、
その時に建てられたのが、
この"今津六角堂"なのです。
校地内を3度移築改修…
新たな役割を担いつつ、
再生され続けてきたのは、
今津の人の心意気を伝える
証なのかも知れません。
幅広の窓枠をもつ
縦長の両開き窓…
側面ともに1、2階とも
同じ位置、同じ形状で
開けられているので、
スッキリとした印象を受けます。
阪神淡路大震災では幸いにも
大きな損傷は受けなかったとか…
授業日午前中に限り事前申込みで、
見学が可能とか…。
歴史資料室・地域交流の場として
活用されているそうです。
ふたたび訪れてみたいと思います。
「今津六角堂」
西宮市今津二葉町4-10
木造、階数2、寄棟造桟瓦葺
木造、階数2、寄棟造桟瓦葺