あずまくだりんvol.9 谷内六郎美術館
谷内六郎さんは家族と共に
何度となく横須賀を訪れ、
1975年に観音崎公園にほど近くに
アトリエを構えたそうです。
そんな縁から、
1998年に遺族から『週刊新潮』の
表紙原画など膨大な数の作品群が寄贈。
《ドッグの祝日》1976年
横須賀美術館の分館的な存在ですが、
こちらはカメラOKなのです。
谷内さんは表紙絵について
エッセイ「表紙の言葉」で、
《ドッグの祝日》について
こう綴っておられます。
「浦賀ドックのわきにある
お寺のある山からスケッチした
ものをもとにして描いた」と…
丸窓とのコントラスト…
谷口六郎のユーモアある世界を
愉しむことができる場所。
画材とともに『週刊新潮』
小さい頃は「週刊新潮は只今発売中です」
のCMをよくTVで見ていました。
《パトカーの光》1971年10月9日号
「昔の修身の教科書に
「おおかみが出る」といつも
「ウソ」をつく子がいて、
とうとうその子は
「おおかみに喰われる」という
話がありましたが、
今考えるとその子は本当に
「おおかみ」を見ていたのでは
ないかと思います。
子供はしばしば直感覚で
遠くにいるものでも感知する
本能をもっているからです、
そして将来おおかみに
喰われる身を
予知していたものでしょう。…」
《赤とんぼ》1964年9月14日号
《静かな燈台》1970年7月25日
《階段の靴音》1973年
《燈台の子》1975年9月4日号
《UFOだ》1980年8月14日号
表紙絵には1枚につき約400字の
「表紙の言葉」が残されていて、
併せて紹介されていました。
《くらま天狗の出るところ》
1973年2月22日号
"影のイマジネーション"を
微笑ましく描いた谷内さん。
人や物の形を映し出し、
変幻自在な"影"の描き。
《ぼたん雪の影》1979年3月1日号
《冬のとんぼ》1962年1月22号
古来より身近な不思議な存在で
あると同時に"影"、
畏怖の対象でもありました。
谷内の豊かな感性と想像力…
外庭にはネムノキ
化粧用の刷毛のような花、
花言葉 "歓喜" "胸のときめき"とか…
外庭の先には2022年度に新収蔵の
《映画「社長三代記」
タイトルバック原画》がいくつか。
松林宗恵監督の『社長三代記』は、
東宝映画で続編は1958年に公開。
作中に登場する森繁久彌や加藤大介、
小林桂樹を谷内らしく描いたもの。
映画のオープニングやエンディングで、
タイトルの題字やスタッフクレジットが
入って流されるのが"タイトルバック"。
『週刊新潮』の表紙絵とは違った印象、
でもそこには谷口六郎さんの
ユーモアあるセンスが光っていました。
《ないしょのスイカ》1969年
『週刊新潮』中吊り広告一筆箋より
《無題》1974年
《シャボン玉の夢》1977年
《虫のハイウェイ》1973年
《無題》
《シャボン玉の夢》1977年
《虫のハイウェイ》1973年
《無題》
《無題》
《無題》
《無題》