ヴォーリズ 唯一のレストラン "東華菜館"


四条大橋に行き着くと
一瞥するしかない存在、
スパニッシュな偉容
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
唯一手掛けたレストラン建築。
大橋の近くの八百屋「矢尾政」の
新しいビアレストランの店舗として、
1926(大正15)年に竣工した建物。
2代目店主の浅井安次郎
W・M・ヴォーリズに設計を
依頼して実現したもの。

大正最後の年1940年(大正15)、
建築された年を境に
戦時色が深まっていくのです。
ビアレストランとしての存続ならず

浅井が中国山東省出身の友人である
于永善さんに譲り渡し、
戦後1945年になって北京料理店
"東華菜館"の誕生に繋がったのです。

純北京料理とありますが、
于さんが修得したのは"山東料理"、
明、清の時代に山東省などで、
乾燥フカヒレや干し鮑が
皇帝に献上されるようになります。

山東の料理人が北京に招かれ、
"宮廷料理" として北京料理を
発展させたのだとか…

Chinese Restaurant "が
正確かもしれませんね。

外観はスパニッシュが基調ですが、
テラコッタ装飾が印象的。

が見下ろしているのがユニーク。

玄関回り…イルカ

タコホタテ貝など

元八百屋さんのビアレストランなのに、
なぜ海産物なのかは謎です。

教会堂を想起させるドームが載る屋上、
塔屋は"東華菜館"のもうひとつの魅力
手動式エレベーターの機械室なのです。



蛇腹式の内扉が付いた二重扉、
店員さんが運転手として、
手動式操作盤で部屋までご案内。

アメリカ映画のワンシーンのよう。

アメリカのオーチス社の銘板…
現存する日本最古であり、
現役で動いているのがスゴい!

"フロアインジケーター"は、
半円形のアナログ時計式。

数字の間隔が均一でないのは、
フロアごとに天井高が違うから。

かつての1階は喫茶だけでも
楽しめた大衆食堂だったとか。

衝立も現役で活躍中…
エントランスを入るとお出迎え。

クローバー文様とか



待ち合わせスペースとして、
使われています。

2階個室は当初はバー兼待合室、
飾棚は大丸百貨店などの、
ヴォーリズの商業建築に
みられる星形のデザイン

木製アーチで部屋を仕切る。

3階は旧ソシアルルーム

往時はこんな感じとか

3階の中宴会場は、
古くはアミュズメントホール。

4階はバンケットホールになっていて、
結婚披露宴などで華やかな宴が、
開かれた場所でもあるのです。

ちょうど鴨川向かいに南座
臨む席に案内してもらいました。

装飾はアラベスク模様に、
中華風な照明が吊り下がります。

コースだと個室予約が
できたのですが、
大食感に呑んべえたち
ご一緒できたのでアラカルトで。



春巻きはおかわりしました!

揚げ鶏肉の唐辛子炒め…
ビールだけなく桂花陳酒ロックへ

焼餃子…
海外通の大食感曰く、
中国には焼餃子はなく、
ツアコンとして活躍していた彼は、
ガイドとして"焼餃子"オーダーを
苦労したそうだ…

シメはチャーハンです。

お帰りは階段でした。



1階まで降りると貝に包まれるよう



鳩なんだろうか??

テラコッタ計画案

階ごとのバリエーションが秀逸。



「東華菜館」
 旧 レストラン矢尾政
 竣工年:1926(大正15)年
 設計 :ヴォーリズ建築事務所
     W・M・ヴォーリズ、佐藤久勝
 施工 :大林組

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