京の冬の旅2023+ 東本願寺 菊門


"東本願寺 菊門"…烏丸通に面して立つ
非公開というわけではないので、
京の冬の旅2023+ということ。

大寝殿の前にある門で、
御遠忌などの大法要では、
結願日中に大寝殿から法衣を
着用した僧侶たちが行列をなし、
大寝殿を出発し、
菊門から烏丸通に出て、
御影堂門より境内に入り、
御影堂にいたる道程で"庭儀"
という参道列が行なわれる。
普段は閉じられているのです。

烏丸通からみると菊の紋章があり、
"菊門"と称されていますが、
1907年ごろから1984年までは、
"勅使門"といわれていたそうです。

御影堂門の北方にあり、
大寝殿への表門として建設は、
宗祖650年遠忌事業
1911(明治44)年のことで、
設計は京都府技師であった
亀岡末吉さんによるものです。

四脚門、切妻造、檜皮葺…
前後に軒唐破風を付され、
木部は総漆塗で伝統的な
形式を踏襲しつつも、
「彫刻や木鼻絵様には
 近代的感覚が充溢」

近代化遺産の解説には記されます。
充溢(じゅういつ)とは、
「満ち溢れている」ということ。

亀岡末吉は1865(慶應元)年に
前橋藩士の子として生を受けます。
東京美術学校の絵画科に入学し、
卒業後は1901(明治34)年から
内務省の古社寺調査に携わり、
寺社の修理に従事しました。
その後 宮城県技師を経て、
1907(明治40)年に京都府技師に…
平等院鳳凰堂、東福寺の方丈
東本願寺、仁和寺の門
などの
再建に携わった人です。
■ 仁和寺 宸殿 京の冬の旅2022

仁和寺では霊明殿、宸殿を設計、
亀岡末吉の設計は"亀岡式"と
言われるまでになりました。

本を開いて伏せたような形の切妻造
平行な面を"平"棟と直角な面が"妻"
古くは"真屋"とも言われるのは、
伊勢神宮出雲大社などの社殿に
採用されている所以です。
四方向に傾斜する屋根面の
"寄棟造"と比して格上とも…

ちなみに檜皮葺は飛鳥時代、
668年の滋賀県大津市の廃寺、
崇福寺の諸堂が最古の記録とか…
檜の樹皮で屋根を葺くので、
そのまま建設当初を維持されずに、
葺き替えられることで使われる。
多くの建築はそのようにして、
引き継がれていくものなのです。

京都大学の東方 神楽岡、
亀岡末吉がその邸宅を
構えていた場所
です。
建物は今は世界救済教黎明教会に…
邸宅の門は檜皮葺ではなく杮葺き
左右には"木賊塀"とか。
竹は1列ずつに上下を逆にして
並べる手の込んだもの
だとか。

自邸とは一線を画しますが、
意匠に気を使った心意気は、
菊門のそこかしこに
鏤められているのです。




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